フィルムスタディーで、相手を研究し尽くしたと過信してはいけない。
 気迫、スピード、駆け引き。試合当日、実際に対峙してみないと分からないことはたくさんある。
 キープレーヤーが放つ独特のオーラのようなものは、決してビデオには映らないからだ。


 10月29日に富士通スタジアム川崎で、今季の関東学生リーグ1部TOP8の優勝の行方を左右する早大と日大の対戦がある。
 ともに前節まで4戦全勝。試合内容は、守備が安定している日大にやや分があるとみる。


 早大の4年生QB坂梨陽木主将は、10―7で辛勝した第4節の中大戦後のハドルで、チームメートを前にこう言った。「このままなら、日大に勝てない」


 リーグ3連覇を目指す「ビッグベアーズ」は、2年連続で甲子園ボウルを経験したことで「負けないチーム」になった。
 一方の「フェニックス」は、1年生でエースQBに抜擢された林大希選手に代表される若手が中心のチーム。試合を重ねるごとに力をつけている。初戦で苦しみながら、中大を20―17で破って勢いがついた。


 安定感は坂梨選手、意外性では林選手か。攻撃の司令塔が、ハードヒットを受ける危険を覚悟で、ダウンフィールドを駆け上がる勇気を持ってプレーできるかも、試合の流れを左右しそうだ。


 アメリカンフットボールはフィールドの選手だけでなく、コーチやスタッフを含めたチームの総合力を競うスポーツである。
 規律を守り、隙のない「戦う集団」としての完成度を高めてキックオフを迎えることが、何より重要になる。


 気まぐれな勝利の女神はえてして、ストイックな「硬派」を好み、優しくほほ笑みかけるものである。(編集長・宍戸博昭)

【写真】中大との試合後、チームメートに話しかける早大の坂梨主将=10月14日・アミノバイタルフィールド