今季途中から「10番」を背負う林大希選手の登場で「日大QBのエースナンバー『10』を、1年生でつけたのは誰以来?」と、最近よく聞かれる。


 不確かだが、記憶をたどって挙げる名前は中川雅照さん(1976年度卒)だ。東京・日大桜丘高出身の中川さんは、上級生にQBがいなかったこともあり、大学1年から「10番」だった。


 フェニックスの「10番」といえば、なんと言っても佐曽利正良さん(1971年度卒)だ。この人も、大学に入ってすぐに栄光のナンバーをつけていた。
 178センチ、70キロのスリムな体型。抜群のパス能力と、相手のタックルをするするとかわす華麗なプレースタイルでファンを魅了し、今でも「伝説のQB」として語り継がれている。


 佐曽利さんについては、篠竹幹夫監督から生前いろいろ聞いた。御大の佐曽利評はこうだ。
 「あいつはすぐに疲れちゃうから、練習中は出番が来るまで俺のそばに座らせておくんだ。ただ、運動能力はすごかったな。バスケットボールをやらせたら、ハーフラインから全部シュートを決めてしまう。そんな男だった」


 尋常ではない体力とセンスを持ちあわせていたという証言もある。佐曽利さんの2年後輩の日大OBの話だ。
 「佐曽利さんは大柄なラインの選手にも負けない握力があって、陰でものすごく努力していた。研究熱心で、練習ではディフェンスエンドやセーフティーに入っていた」という。


 174センチ、85キロの林選手は、大阪・大正高時代からベンチプレスでかなりの重量を支えるなど、卓越した体力の持ち主だそうだ。
 まだ線が細く粗削りだが、楽しみなルーキーである。(編集長・宍戸博昭)

【写真】1969年、関学大との甲子園ボウルで日大のQBを務めた、当時2年生の佐曽利正良さん=毎日甲子園ボウル70回の軌跡から