「ペップトーク」とは、コーチが選手の士気を鼓舞するショートスピーチである。
 過度にプレシャーをかけてもいけないし、かといって楽観的な言い方も適度な緊張感を保つ上で避けた方がいい。


 「大きく考えれば、行動も大きくなる。小さく考えれば、それを超えられない。全ては心次第である」
 アラバマ大のかつての名将ポール〝ベア〟ブライアント氏の名言だ。


 スーパーボウルの優勝トロフィーにその名を冠する、パッカーズの元監督ビンス・ロンバルディ氏の「勝つことが全てではない。勝つことが唯一絶対なのだ」は、いかにもプロチームの指揮官らしい。


 中心選手がけがをして、やむなく大事な試合を欠場するなどといったマイナス要素が、時としてチームの士気を高め、好結果を生むケースがある。
 戦略を練り、気持ちが盛り上がった状態で選手をフィールドに送り出すのがコーチの仕事。
 「コーチングにおいて、準備より重要なものはない」。NFL49ersの黄金期を築いたビル・ウォルシュ氏の言葉である。


 関東学生リーグ1部BIG8に所属する東大のヘッドコーチ(HC)に就任した森清之さんが、学生を前に何を語るのか。初戦の桜美林大との試合後、耳を澄ませて聞いてみた。


 「試合でプレーしていて、面白いと思うことは大切。でも、そうするためには普段の練習からしっかり準備をしなくてはいけない」
 母校京大を日本一に導き、日本代表HCの経験もある森さんの話に、学生は目を輝かせた。


 心を揺さぶるコーチのひと言で、選手は劇的に変わることがある。「この人のために頑張ろう」と結束したとき、チームは思わぬ力を発揮するものだ。(編集長・宍戸博昭)

【写真】桜美林大とのリーグ初戦の試合後、選手に話しかける東大の森清之ヘッドコーチ=撮影:seesway