「ギフト 僕がきみに残せるもの」(8月日本公開)の試写会に行ってきた。
 徐々に体中の筋肉が動かなくなる難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された、NFLニューオーリンズ・セインツの元選手、スティーブ・グリーソンさんが、生まれてくる子どものために撮り始めたビデオダイアリーを映画化した作品である。


 米南部のニューオーリンズは2005年8月、ハリケーン〝カトリーナ〟によって壊滅的な被害に見舞われた。
 セインツの本拠地「スーパードーム」は地元住民の避難所になったが、ドーム自体の損傷も激しくシーズン中は使用できなくなった。


 06年9月。被災後初めて迎えたホームゲームで、グリーソンさんはチームに勝利をもたらす劇的な「パントブロック」を決めて一躍ヒーローになる。
 しかし引退後、体調に異変を感じたグリーソンさんは、医師からALSであることを告げられる。


 ミシェル夫人との間に生まれた長男・リバース君の成長とともに病状は進み、歩行や会話もままならなくなる父親が葛藤する場面は壮絶だ。


 セインツのエースQBドルー・ブリーズ選手、LBスコット・フジタ選手ら、かつてのチームメートの献身的なサポートにも、繰り返しスポットライトが当てられる。
 米国のプロスポーツ選手のフィールド外での社会活動に対する意識の高さが、見る側に伝わってくるドキュメンタリー映画である。


 グリーソンさんが、息子を「川」と名付けた理由をカメラに向かって説明するシーンがある。その内容はとても哲学的だ。
 ワシントン州立大からドラフト外でプロ入り。身体能力に恵まれなかった白人選手が、最高峰のNFLで8年間もプレーできた「人間力」が浮き彫りになる。(編集長・宍戸博昭)

【写真】映画「ギフト 僕がきみに残せるもの」のパンフレット