「最近、水野さんがよく登場しますね」。試合会場で旧知の京大OBから声を掛けられて「やっぱりそうか」と思った。
 痛いところを突かれ、言い訳がましく心の中でつぶやく。「昔に比べて『見出しになるコメント』をしてくれる指導者が少なくなったからな」


 現在立教大のシニアアドバイザーを務めている前京大監督の水野彌一さんの話には、取材する側の琴線に触れるエッセンスが随所に散りばめられている。
 それがとても自然で、どうしても紹介したくなるのである。


 「今日の試合は、おもんなかった。スポーツは本来、面白くないとあかん」―。
 チームを率いて四半世紀が経過した関学大の鳥内秀晃監督は、「見出しになるコメント」を提供してくれる貴重な人である。


 ストレートな物言いは学生時代から変わらない。監督として重ねたさまざまな経験が、人間的な魅力となって学生を巻き込んでいくのだろう。
 リーダーの軸がぶれない。「ファイターズ」が、孤高の存在として君臨する理由の一つである。


 多くのファンが疑問を抱いた判定で、世界のチャンピオンベルトを逃したボクシングの村田諒太選手は、リングを降りた後の知的で潔い言動が話題になり男を上げた。
 ゴルフの宮里藍選手は、記者会見で豊富な語彙を駆使して、今季限りで引退する理由をさわやかに説明した。


 誰もが思いつきそうな優等生発言や、あらかじめ用意した言葉は浮き上がり、聞き手の胸に響かない。
 社会性と「言葉の瞬発力」を身につけた一流の指導者やアスリートの発言には、読者との間に立つ記者の〝技巧〟を必要としない圧倒的な説得力がある。(編集長・宍戸博昭)

【写真】「ライスボウル」の試合後、学生に語りかける関学大の鳥内秀晃監督=2017年1月3日・東京ドーム