プレースタイルはあくまでクールなのに、観客の心を熱くする。数あるアメリカンフットボールのポジションで、そんなタイプの選手が多いのはWRかもしれない。


 古い話で恐縮だが、1970年代の関学大に小川良一さんと志浦康之さんという、当時では珍しい身長180センチ台の大型WRがいた。
 スタートしてからパスを受けるまでのしなやかな動き。捕球後の華麗な身のこなしは、他校のWRの憧れであり手本だった。


 馬が疾走するような、独特のリズムでダウンフィールドに出てDBを翻弄する背番号「14」、サーファーのような長髪と口ひげがトレードマークの小川さん。
 スムーズな走りで相手ディフェンダーを抜き去る2年後輩の背番号「80」、七三分けの志浦さん。
 「パスの関学」を象徴するお二方のルックスは対照的だったが、ともに「スター選手」だけが持つオーラを発していた。とにかく格好良かった。


 「チームのためにパスを落とさない。キープレーでは絶対にファーストダウンを取る。インターセプトされたりファンブルをしてチームに迷惑をかけない。QBから投げられたボールには、応援してくれている全ての人の思いがこもっているので、何が何でもしがみつく気概が大切」
 ハワイ・カウアイ島から届いた小川さんのメッセージには、名門チームのWRとしての強い意志と覚悟がにじむ。


 パスを捕るだけでなく、ブロッキングの名手でもあった。長身を生かした切れ味鋭い「クロスボディー」は対戦相手にとって極めて厄介で、小川さんの代名詞でもあった。


 どんなにハードヒットを受けてもすぐに立ち上がりハドルに戻る。ダウンフィールドで繰り広げられるDBとの主導権争いを制するために、日頃のハードワークを厭わない。
 クールにしてホット。格好いいWRの条件である。(編集長・宍戸博昭)

【写真】1974年、日大との甲子園ボウルでパスをキャッチする関学大WR小川良一さん=写真提供・小川良一さん