同じ大学のクラブのOBでも、卒業年度が10年違うと顔も名前も知らない。それが普通だろう。
 1976年と2016年。ともに主将としてチームを優勝に導いた二人の年齢差は実に40。しかし、そこには伝統校ならではの「共通言語」があり、いつの時代も変わることのないチーム愛が存在する。


 76年度の関学大主将、伊藤文治郎さんと昨シーズンの山岸明生主将が初めて対面したのは、ライスボウルが終わった後の1月中旬だった。
 息子さんとほぼ同年齢の山岸主将に向けられる、伊藤さんの優しいまなざし。現役の学生らしく、出された食事を豪快に平らげる後輩を頼もしそうにながめていた。


 伊藤さんの代は「奇跡の学年」と呼ばれている。4年時、関西学生リーグで京大に0―21で完敗し、1週間後のプレーオフでは13―0と雪辱した。
 昨年の関学大は、ライバル立命大に1シーズンで2勝するなど、無敗で学生日本一の座を奪回。その中心にいたのが、卓越したリーダーシップを発揮した山岸主将だった。


 「ファイターズ」の関係者は「ファミリー」という言葉をよく使う。現役の学生、コーチをOB会や後援会が全力で支える。
 学生王者には史上最多の28度。「ファイターズ」の強さの根底にあるのは、無償のチーム愛である。


 40年の時を経ても受け継がれる「DNA」の存在を確認した先輩と後輩。二人の表情には、誇りと安堵感がにじんでいた。
 4年間ですっかり関西弁が板についた山岸主将は、4月から生まれ育った東京で社会人、そしてOBとしての第一歩を踏み出す。(編集長・宍戸博昭)

【写真】関学大2016年度主将の山岸明生さん(左)と1976年度主将の伊藤文治郎さん