勝新太郎が演じるやんちゃな二等兵(大宮)と、幹部候補試験にわざと落ちる田村高広扮するインテリの上官(有田)。全くタイプは違うのに不思議とウマが合う二人が、戦場でさまざまな窮地を乗り越えていく「兵隊やくざ」は、大好きな映画シリーズだ。
 情にもろいが喧嘩っ早く、トラブルを腕力で解決しようとする大宮を有田がたしなめる。師弟関係のあやのようなものが見えて、とても面白い。


 「週刊TURNOVER」の看板コラムの一つ「TAMON’Sスタイル」で健筆をふるっている中村多聞さんが、現在進行中の「多聞物語」で、恩師と慕う富士通の藤田智ヘッドコーチとの出会いから日本一になるまでのストーリーを、独特の筆致で紹介してくれている。


 失礼かもしれないが、多聞さんと藤田さんはまさに大宮と有田のようだと思うことがある。
 「河川敷からNFLまで、全てのレベルのアメリカンフットボールを経験した男」として知られる、たたき上げの多聞さん。京大時代はクオーターバック(QB)を任され、母校やXリーグのコーチとして日本一を経験したエリートの藤田さん。
 異質なご両人の何とも言えない「いい関係」は、羨ましいほどだ。


 多聞さんは昨年、早大とノジマ相模原のコーチに就任。今年になって月に一度、京大のランニングバック(RB)の指導もしている。
 「僕だけが隠し持っているRBとフットボールについての情報を、徹底的に開示していくつもり」。師匠の影響だけでなく、元々指導者としての資質がある多聞さんはこう語る。


 東京と大阪で飲食店を経営する実業家としての顔も持つ「コーチタモン」を師と仰ぐ教え子は多い。
 送られてくる文章は描写が丁寧で、ユーモアも散りばめられている。多忙にもかかわらず、律儀に締め切りを守る。編集者にとってはありがたい「コラムニスト」である。(編集長・宍戸博昭)

【写真】多聞さん(右)が師と仰ぐ富士通の藤田智ヘッドコーチ=写真提供・中村多聞さん