新聞記者の大先輩、尊敬する石井晃さんから今年も冊子が届いた。
 石井さんが関学大ファイターズの公式ホームページに寄稿したコラム「スタンドから」の1年分をまとめた「栄光への軌跡」と、もう一冊は石井さんが編集局長を務める和歌山県田辺市にある新聞社「紀伊民報」に連載されたコラム集「水鉄砲抄」である。


 元朝日新聞記者の石井さんとは、試合会場などで会う度に、ためになるお話を伺っているというエピソードは小欄で何度か紹介した。
 チームのOBではないが、母校関学大の誉れである「ファイターズ」を、シーズン中温かい目で見守りコラムにしたためる。時に厳しく、時に優しく。人生の先輩として学生に送るアドバイスは、愛情にあふれている。


 「水鉄砲抄」には、若者の読書離れを憂いたコラムがいくつかある。
 「読書で感受性を養い、思考力を鍛えてこそ、生きる力や喜びが見つかる。司馬遼太郎の歴史小説の主人公に自らを投影するもよし」
 石井さんは「読書の効能」をこう説明し、「関学でも、本に興味を持ったリーダーが率いたチームは、たいてい優勝している」という。


 昨季、プロ野球で日本一になった「日本ハム・ファイターズ」は、寮で生活する若手選手に読書を習慣づけるそうだ。
 「二刀流」で知られる大谷翔平選手の、インタビューに自分の言葉でしっかり答えられる〝スキル〟は、元々持ち合わせていた本人の資質に加え、こうしたチームの教育方針によって磨かれたものなのだろう。精神面の充実は、必ずプレーに表れる。


 各大学は、新体制で来季に向けて動き出している。
 卒業生の抜けた穴を埋める作業も大事だが、春のシーズンは体作りとともに、本と向き合う時間を大切にしてみてはいかがだろうか。(宍戸博昭)

【写真】石井晃さんのコラム集「栄光への軌跡」と「水鉄砲抄」