両チームの選手のヘルメットには「40」と書かれた小さなシールが貼られていた。
 「40」は、11月の全国高校選手権関西地区大会の試合中に倒れ、4日後に急性硬膜下血腫で亡くなった、関西学院の3年生TE武内彰吾さんが付けていた背番号である。


 事故を受けて、関西学院は12月23日に大阪・キンチョウスタジアムで行われた全国高校選手権決勝(クリスマスボウル)への出場辞退も考えたが、武内さんの家族と相談し出場することになった。
 結果は東京の佼成学園に17―27で敗れ、3連覇はならなかった。


 今回の事故では、佼成学園も心を痛めていた。初の高校日本一に輝いた小林孝至監督は「事故の話を聞いて、血の気が引いた。うちの生徒だったら、自分の子どもだったらと思うと、気持ちの整理がつかなかった」という。


 定期的に〝出稽古〟に赴き、胸を貸してもらっている関西学院の中尾昌治監督は、小林監督にとっては恩人でもあるからだ。佼成学園は練習前に、毎日西に向かって黙祷を捧げたそうだ。


 「関学としては、喪章を付けて出場しようという意見もあったが、それは相手にとってプレッシャーになってしまうのでやめた」。中尾監督の配慮を斟酌するように、小林監督から提案があった。
 「我々は『40』のシールをヘルメットに貼ります」。試合の3日前、佼成学園のOB会が作成した同じシール120枚が関西学院に届いた。


 関西学院のベンチでは、彰吾さんの笑顔の遺影が仲間のプレーを見守っていた。
 「親としては、息子の死をまだ受け入れられないというのが正直なところ。長い遠征に出ているという感じ」。武内さんの父・慎吾さんはそう話す。


 勝って涙、負けて涙。「どちらにも勝たせてあげたかった」。そんな思いを抱かせる、感動的な試合だった。(編集長・宍戸博昭)

【写真】選手のヘルメットには「40」のシールが貼られていた