正面からカメラを向けられると、人はその時の心境とは別に自然と笑顔を作るものだ。そこで最近は、失礼を承知で「後ろ姿」を撮影するようにしている。
 その背中には、明暗がくっきり浮かび上がるからだ。


 12月12日に東京ドームで行われた、Xリーグの年間王者を決める「ジャパンエックスボウル」。試合は富士通が苦手にしていたオービックを破って、2年ぶりの優勝を果たした。


 3年ぶりの王座返り咲きを狙ったオービックの古庄直樹ヘッドコーチ(HC)は就任1年目。元日本代表主将が指導者として初めて迎えたシーズンは、年を越すことなく終わった。


 3年前に日本選手権(ライスボウル)で4連覇を達成した強豪は、過去2シーズンもがき苦しんでいた。「それまであった、このチームの文化がなくなっていたのが勝てなくなった原因」と古庄HCは言う。


 大事な場面での反則、スペシャルプレーの失敗…。富士通戦の敗因はいくつもあった。しかし、勝敗よりも大切なものがある。それが、前HCの大橋誠シニアアドバイザーも口にした「チームとしての文化」なのである。
 「優れたキャプテンシーをそのままリーダーシップに置き換えて、選手を巻き込んでくれた」。大橋氏の古庄HCに対する評価である。


 スタンドを埋めたファンに敗戦をわびる選手、スタッフの後ろで肩を落とす新人HCは言った。「4連覇した時のチームより、今の方が強い。それは間違いない」


 最多8度の日本一に輝いた強豪が作り上げてきた「文化」とは何なのか。それは「どんな展開になっても相手を圧倒すること」なのだという。


 アメリカ人選手の活躍だけが突出していた時代は終わり、一段高いレベルの「戦国時代」を迎えたXリーグ。「クラブチームの雄」を率いる、若き指揮官の手腕に期待したい。(宍戸博昭)

【写真】ジャパンエックスボウルの試合後、選手の後ろでスタンドを見上げるオービックの古庄直樹ヘッドコーチ=12月12日・東京ドーム