横浜スタジアムの最上段にある記者席へ向かう急勾配の階段を上りながら、「日大が完封負けするのは、いつ以来だろう」と考えていたら、直後に1年生QBがゴール前1ヤードから飛び込んで一矢報いた。
 関東学生リーグTOP8は第6節を終了して、日大は3勝3敗。第4節の中大戦から3連敗である。


 11月13日の慶大戦は、エースQBの高橋遼平選手が前節の法大戦で負傷して出場できなかったのが最大の敗因だが、優勝の可能性が消えた状態でモチベーションを保つのは難しかっただろう。
 勢いのある慶大に飲み込まれ、いいところなく完敗した。


 負け試合の後に、どう立て直すかは指導者の腕の見せ所でもある。しかし、目標を失った選手を発奮させるのは大変だ。優勝を義務づけられたチームならなおさらだ。


 甲子園ボウル優勝20度、日本選手権(ライスボウル)制覇は4度。名門を率いる指揮官ならではの悩みは多い。
 長くコーチをしていた高橋宏明新監督は就任当時、「監督になって初めて分かったことがたくさんある」と話していた。


 高橋監督が全幅の信頼を寄せる趙翔来主将は、試合前のコイントスと試合後の相手チームへのあいさつを一人で務めていた。
 規律を重んじる日大というチームのキャプテンらしい、彼の毅然とした姿に救われたファンは少なくないはずだ。


 シーズンは大詰め。66年ぶりの甲子園ボウル出場を目指す慶大が注目される一方で、復活に向けたチーム作りを模索する「不死鳥」の葛藤がある。(宍戸博昭)

【写真】慶大に敗れた試合後、スタンドに向かってあいさつする日大の選手とスタッフ=11月13日・横浜スタジアム