9月に入って、ともに身長が160センチ台の小柄なQB二人に話を聞くことができた。
 日大の高橋遼平選手(4年、168センチ)と日体大の小林優之選手(2年、162センチ)である。


 高橋選手は、日大のエースナンバー「10」を継承し、さらに副将という重責を担う。
 今季は、プレーが崩れると相手のハードヒットを恐れず自ら走り、ピンチを切り抜ける姿が印象的だ。走り方に力強さが増したのは、日頃の鍛錬のたまものか。


 小林選手は、関東の王者・早大を相手に冷静な司令塔ぶりを披露した。判断に迷いがなく、動きに切れがある。
 投げてよし、走ってよし。試合は延長タイブレークの末敗れたが、早大守備陣を翻弄した小気味のいいプレースタイルはとても魅力的だ。


 子どもの頃からフラッグフットボールに親しんだ小林選手は「フットボール」という競技の要諦を知り尽くしている。
 決してパニックに陥らず無理をしない。QBは全てを取り仕切るポジションで、責任も全て自分が負う。童顔に似合わず、そうした「覚悟」のようなものがその動きににじむ。


 彼らは身長が低いというハンディを常に感じながら、どうしたらオフェンスを前に進めることができるかに腐心してきた。
 小林選手は「大きなディフェンスラインに手を上げられると前が見えない。あと10センチ背が高かったら、と思うことがある」と打ち明ける。


 上背はなくても抜群の運動能力とリーダーシップでチームを勝利に導いたQBは、過去にたくさんいる。
 どんなアイデアを駆使して難敵に挑むのか。小兵には小兵の意地と生きる道がある。(編集長・宍戸博昭)

【写真】延長タイブレークで敗れた早大との試合後、インタビューに答える日体大の2年生QB小林優之選手