試合で相手がファンブルしたボールを、1回でリカバーできなかった。翌日待っていたのは「一日中リカバー練習」。
 試合でタックルを外された。翌日課せられたのは「一日中タックル練習」。


 勝敗には直接関係なくても、ちょっとしたミスが大事な場面で命取りになることを、その人はよく知っていた。だから、二度と同じ失敗を繰り返さないために、徹底して体で覚え込ませるのだ。


 終わりの見えない単調な反復練習。集中力を欠き、ふっと気を抜く。その瞬間、命じられるのは全力でのグラウンド一周。手抜きを決して見逃さないその観察眼に恐怖を感じた。


 監督は選手に最大限の負荷をかけ続け、選手はそれに耐えることで成長する。小さなことにも目配りし、その都度修正を加える。そこに妥協はない。
 人を鍛えるという作業は、教える方も命がけなのである。


 秋のシーズンが開幕した。思い通りのスタートを切ったチームもあれば、いきなり軌道修正を迫られたチームもある。
 迷ったときは原点回帰。一見無駄に思える地道な練習の積み重ねが、思わぬ効果を生むこともある。「神は細部に宿る」ともいう。(編集長・宍戸博昭)

【写真】関東学生リーグの主会場の一つ、東京都調布市にあるアミノバイタルフィールド