就任1年目。主将とともに恒例の関東学生リーグ開幕前の記者発表に臨んだ日大の高橋宏明新監督は、とても堂々としていた。
 今年4月、復活を目指す名門の再建を託され助監督から昇格したニューリーダーは、言葉を選びながら「新生フェニックス」を率いる覚悟を語ってくれた。


 「日大という看板を背負うプレッシャーは、コーチ時代から感じていた。でも、監督になって初めて見えてくることもある。それは、この数か月で身に染みて実感している」


 学生時代は守備ラインとして1年時から試合に出場した。しかし3、4年時は京大の黄金期と重なり、大学日本一を決める甲子園ボウルで連敗した。
 卒業後は、迷わず母校の職員になった。学生時代に薫陶を受けた故篠竹幹夫元監督から、指導者としての基礎を一から学んだ。


 「試合になれば結果が問われるが、それ以前にフェニックスの精神を踏まえて練習に取り組むように学生には常日頃から言っている」
 「硬派」の新監督は、勝ち負け以上に大切なものがあると信じている。


 1990年度に3年連続日本一を達成したのを最後に、日大は長らくタイトルから遠ざかっている。今春のライバル関学大との定期戦では完敗するなど、不安を抱えてのシーズンインとなる。
 「リーグ戦では全力で勝ちにいく」と話すが、目先の勝利にこだわり組織としてのダイナミズムを失ってはいけないという思いもある。


 「最終的な目標は、篠竹さんが掲げていた『打倒アメリカ』。スケールの大きいチームを作りたい」
 日大には、他の大学とは一線を画し独自のチーム作りをしてきた歴史と伝統がある。負ける悔しさを知る苦労人は、9月3日に日体大との初戦を迎える。(編集長・宍戸博昭)

【写真】チーム作りについて語る日大の高橋宏明新監督=8月23日、東京都内のホテルで