週刊TURNOVERにコラムを寄せてくれている中村多聞さんが、Xリーグのノジマ相模原と早稲田大学を「タモン式ランニングバック(RB)養成所」の〝所長〟として指導することになった。
 この春、XリーグのIBMでも臨時のRBコーチを務め、チームの東日本社会人選手権(パールボウル)優勝に貢献した。


 アサヒ飲料の選手時代、RBとして日本選手権(ライスボウル)の最優秀選手に輝いた「多聞さん」の本業は、東京と大阪で飲食店を経営する実業家。「河川敷からNFLまで、全てのレベルのフットボールを経験した日本でただ一人の選手」としても知られている。


 175センチ、110キロの巨体。声も大きく威圧感満点だが、細やかな気配りができる人である。
 コーチは選手の気持ちをおもんぱかり、適切な方向に導くのが仕事である。最高峰のNFLキャンプに参加した多聞さん。その時に味わった「挫折」が指導者としての原点だ。


 「キャンプ初日で、これはあかんと思った」という話は、コラムにも登場する。「絶望的な体力差」は、小手先の技術や気持ちでは埋めがたいものがあったという。
 日本のエリートRBは本物を見たことがないのでイメージを描きにくく、せっかくの才能が生かし切れていないと残念がる。


 「タモン式RB養成所」のテーマは「日本のRBのスタンダードを変える」。指導法は自らの経験で得たノウハウが中心だが、独自に編み出した理念と哲学も惜しみなく伝授する。たたき上げの苦労人だけに、その教え方は緻密で丁寧という評判だ。


 愛車のハーレーダビッドソンか、それとも電車か。多聞さんの目下の悩みは、早稲田のグラウンドがある東伏見に向かう手段をどうするか、だそうだ。(宍戸博昭)

【写真】「パールボウル」でIBMの臨時コーチとしてベンチ入りした多聞さん(中央)=6月13日・東京ドーム