「古いアルバムめくり」という歌詞で始まる「涙そうそう」は、沖縄の言葉で「涙がぽろぽろこぼれ落ちる」という意味だそうだ。夏川りみさんの澄んだ歌声が好きでよく聞く。


 不要なものを捨てる「断捨離」という言葉がある。衣替えと平行して進めるこの作業は、男性より女性の方が思い切りと効率がいい。
 もう着ないと判断された衣類が、いつの間にか家人の手で「整理」され、慌ててゴミ置き場まで〝救出〟に行ったことが何度かある。「これまだ着られるんじゃない」。未練がましく言う。


 捨てるに捨てられないのが昔の写真だ。滅多に見ることもなく、場所ふさぎになっているのだが、捨てるには惜しいし、何より写っている人に申し訳ない気持ちになる。
 懐かしい写真を見つけると、思わず断捨離作業の手が止まり見入ってしまう。


 大学時代の地獄のような夏合宿では、いつからか最終日に「打ち上げ」が設定された。隠し芸を披露する教え子の姿に目を細める。自らマイクを握り、野太い声で自作の歌を披露する。ロマンチストだった鬼監督の粋な計らいが伝わってくる写真に、当時の思い出がよみがえる。


 7月10日は、篠竹幹夫元日大監督の命日である。早いもので、亡くなって今年でちょうど10年。夏が好きだったカリスマは、8月の74歳の誕生日を前に天に召された。
 「想い出遠くあせても おもかげ探して よみがえる日は 涙そうそう」―。(編集長・宍戸博昭)

【写真】東京・桜上水の日大グラウンドにある篠竹幹夫元監督直筆の文字が彫られた石碑