背もたれのないコンクリート製の〝観客席〟。照りつける夏の日差しをまともに受けると、めまいがしてくる。
 こんなことを書くととても年寄り臭いが、炎天下でのスポーツ観戦が近頃しんどくなってきた。


 周りを見渡すと、自分よりはるかにお年を召した顔見知りの老紳士たちが、楽しそうに試合を見ている。
 63回目を迎えた慶応高との定期戦のために、上ケ原から日吉までやって来た後輩に声援を送る。


 毒をユーモアで包んだ関西人独特の言い回しで、ああでもないこうでもない。暑さもまったく気にならない様子で、「あの時も、今日みたいにいい天気やったな」。昔話を交えて、絶妙のボケと突っ込みが続く。


 関東の慶応高と関西の関学高。春の大会を制した両チームの一戦は、王者・関学高に軍配が上がった。「よっしゃ、勝った勝った。お疲れさん」
 くだんの大先輩方が、孫ほど年が違う現役高校生の動きを追うまなざしは、とても温かい。


 雨が降ると泥田のようだったグラウンドは、緑が鮮やかな人工芝に張り替えられた。新幹線がない時代。横浜まで夜行列車に揺られてきた。


 遠い昔の青春時代に思いをはせる。母校の応援には、試合だけでなくそうした楽しみ方がある。いつまでもお元気で。(宍戸博昭)

【写真】好天に恵まれた第63回慶応高―関学高定期戦=6月26日・慶大日吉陸上競技場