それまで4試合連続で完封勝ちしていたチームが、キックオフ直後につまずき浮足立つ。一度狂った歯車は、最後までかみ合わなかった。
 春季高校関東大会決勝。東京1位の佼成学園が神奈川1位の慶応に敗れた試合では、高校生の可能性と危うさが見え隠れしていた。


 野球やサッカーは力量に差があっても、偶然性が勝負の綾に絡むことがあるけれど、アメリカンフットボールは実力通りの結果が出る確率が高い。
 ただ、プレーしているのが高校生となるとそうとも言えない。3年生の中には、7月の参院選で選挙権を持つ〝大人〟もいる。それでもまだ18歳。多感な十代は、過去に得た自信より突然襲ってくる不安や迷いに支配されやすい。


 ミスは必ず起こる。あれこれ考えているうちに試合が終わってしまった、というのが佼成学園だった。
 最近は、サイドラインにいるコーチ陣がミスを犯した選手にその場であまり注意しない。大学の試合でもそうだが、プレッシャーを掛けて選手が萎縮することをとても恐れているように見える。


 「気にするな」は、気まずい雰囲気をやり過ごす便利な言葉だが、失敗した選手に本当の意味での奮起を促す効果はない。
 練習では徹底して強制し、実戦では自由にプレーさせるという手法もある。この場合も、試合中はその都度厳しく注意を喚起する必要があるのではないか。


 「お互いを批判し憎み合え。そうして削り削られることによって、刃はさらに研ぎ澄まされていく」。チームが「仲良しクラブ」になることを何よりも嫌った、故篠竹幹夫元日大監督の考え方だ。


 春のシーズンが終わり、国内のフットボールはつかの間のオフに入る。
 夏場の鍛錬を経て最後に笑うチームには、従順な「良い子」ばかりではなく、首脳陣に堂々と意見を言う気概を持った「硬骨漢」が一人ぐらいいるものだ。(編集長・宍戸博昭)

【写真】関東大会決勝で慶応に追加点を奪われ下を向く佼成学園の市川主将(左)=撮影:seesway