「パールボウル」を制したIBMの山田晋三ヘッドコーチ(HC)と初めて言葉を交わしたのは、1999年の第1回ワールドカップ(W杯=現世界選手権)の時だったと記憶している。


 関学大出身の山田HCは日本代表のLB/SSとして、イタリアのシチリア島で開催された第1回大会に出場した。
 当時まだ20代だった彼は線が細く、ショルダーパッドがやたらに大きく見えた。


 控えめな印象だったが、「串刺しシンゾウ」の異名を取ったプレースタイルはあくまでも激しく、守備の中心として日本のW杯優勝に貢献。Xリーグのアサヒ飲料では日本一も経験した。
 その頃は体が二回りほど大きくなっていて、米国のアリーナフットボールとNFLヨーロッパに参戦した。


 2006年にU―19日本代表の守備コーチに就任したのが、指導者としての本格的なデビューだった。
 2010年にIBMのHCになると同時に、英語力と折衝力を見込まれ、スタッフとして各世代の日本代表を国際大会で支えた実績もある。コーチとしてのノウハウもそこで学んだという。


 この春はアサヒ飲料時代のチームメートで、日本選手権(ライスボウル)の最優秀選手に輝いた中村多聞さんを、RBの特別コーチとして招聘。「多聞さんが書く文章を見ても分かるように、教え方が丁寧で緻密」と、その効果について語っている。


 多聞さんをコーチに招いた理由は、若者を惹きつける明るいキャラクターとタレント性もあるが、持って生まれた「指導者としての資質」を見抜いていたからにほかならない。


 自由な雰囲気で、気持ちよく選手にプレーさせようというのが山田HCの流儀に見える。
 チームは今年創部40周年。モチベーターとしての才能を備えた42歳の指揮官が、勝負の秋を迎える。(編集長・宍戸博昭)

【写真】「パールボウル」を制し選手に話しかけるIBMの山田晋三ヘッドコーチ=撮影:seesway