「インパクトのある一枚の写真は、100行の記事より説得力を持つ」
 新聞などに掲載された災害や事件、事故、そしてスポーツの歴史的なシーンにフォーカスした写真は、読者の心に強烈に訴えかける。写真の力はとても大きい。


 週刊TURNOVERでは、レギュラーのコラムニストとして健筆をふるっているフォトグラファーの小座野容斉さんをはじめ、プロとアマチュアのカメラマンが写真を提供してくれている。小欄の生命線である。


 みなさんに共通しているのは、アメリカンフットボールを愛していること。ビッグゲームだけでなく、試合会場ではシャッターチャンスを逃すまいと、サイドラインで神経を研ぎ澄ましている。


 大学と高校の試合を中心に撮影してくれているアマチュアカメラマンの山田浩章さんが、6月13日に東京ドームで行われた、春の東日本社会人選手権「パールボウル」の写真を送ってくれた。
 それは、涙ぐむIBMのWR栗原崇選手と、その背中にそっと手をやるQBケビン・クラフト選手を切り取ったものだった。


 チームとして初めてボウルゲームを制覇したことに感激したのか、それとも何か理由があったのか。
 栗原選手が流した涙の背景は、この場面を見逃したロートル記者には分からないが、二人のエースの関係が伝わってくる、エモーショナルな写真に目を奪われた。


 普段はサラリーマンをしている山田さんは、週末のプライベートな時間をフットボールのために捧げている。選手個々のバックグラウンドを驚くほどよく知っている。


 「ファインダーをのぞいていると、選手の人生が見えます。そんなときは、カメラのボタンをそっと押すんです」。今回の一枚も、そんな思いで自然に指が動いたのだろう。(宍戸博昭)

【写真】涙ぐむIBMのWR栗原選手(左)の背中にそっと手をやるQBクラフト選手=撮影:山田浩章