日本一を目指すチームのサイドラインには、いい緊張感が漂っている。フィールドに出ているメンバーだけでなく、自分が何をするべきかを常に考え動きに無駄がない。
 チーム全員の勝利に対する意欲が伝わってくる。統率が取れている。昨季の大学王者・立命大を見ていてそう思った。


 5月8日、東京・アミノバイタルフィールドで昨年の甲子園ボウルの再戦、早大と立命大の定期戦が行われた。注目の試合は、甲子園ボウルを1点差で制した立命大が17―9で勝った。


 「守備のQBサックなどいいプレーはあったが、RBが何度もスリップしていた。オフェンスラインがしっかりブロックしていれば防げたミス」。立命大の米倉輝ヘッドコーチ(HC)は不満そうだった。
 惜しくも日本一を逃したライスボウルから4カ月。米倉HCは「学生日本一になったのは去年のチーム。それを学生に理解させることから始めた」という。


 力強いランプレーと堅い守備で試合をコントロールする。「パンサーズ」のフットボールのコンセプトである。
 特に、高度な戦術に鍛え上げた選手を落とし込む守備は、水野彌一前京大監督(現立教大アドバイザー)が理想型と絶賛するが、米倉HCはそれを「魂のディフェンス」と表現する。
 どんな高度な戦術も、全員がボールに集まりハードにタックルする気概がなければ、机上の空論になってしまうのだという。


 5月15日に関西学生リーグのライバル京大、6月5日にはライスボウルで敗れた昨季のチャンピオン・パナソニックと対戦する。
 「京大戦は、今のベストメンバーで臨めるが、パナソニックとの試合は(メキシコで開催される)大学世界選手権に選ばれている主力がいないので、必死のパッチでやるしかない。選手層を厚くするという意味ではいい経験になる」と米倉HCは言った。


 試合後のハドル。コーチ陣と選手が反省点を厳しく指摘し合う。浮ついた雰囲気はみじんもなく、そこにあるのは飽くなき探求心と向上心だった。(編集長・宍戸博昭)

【写真】早大との定期戦でサイドラインから戦況を見つめる立命大の米倉輝ヘッドコーチ=5月8日、東京・アミノバイタルフィールド