前京大監督の水野彌一さんが、立教大のシニアアドバイザーに就任した。正式には4月1日付だが、3月から自宅のある京都を離れフルタイムで指導に当たる予定だ。


 水野さんは75歳になった今も現場への思いは強く、「コーチは体力勝負の仕事。自分に残された時間はそう多くない。あと5年、頑張ってみたい」と話している。


 スポーツをする環境には決して恵まれていない京大を大学王者に6度、日本一に4度導いた手腕は、スポーツファンによく知られている。
 徹底した反復練習で学生を鍛え、合理的な戦術に落とし込む。「アメリカの大学のように、練習時間に制限があるわけではない日本の大学は、もっととことん練習するべきだ」。水野さんの持論である。


 今回、日本のアメリカンフットボールのルーツ校からのオファーを受けた理由は、中村剛喜監督の熱意ともう一つ、京大でのコーチ経験がある中大OBの市瀬一・立教大現ヘッドコーチの存在がある。
 「市瀬君に恩返しする意味もあって、スタッフに加わることにした」という。


 「立教は(関東学生リーグ)BIG8にいるようなチームではない。いい素材がたくさんいる。昔のフットボールをやりたい。学生がついてくるかは分からないが、自分のやり方でチームを作ってみたい」
 夫人を京都に残しての“単身赴任”には「嫁さんは、私の飯を作らなくていいと喜んでいる」と笑う。


 日本アメリカンフットボールの殿堂にその名を刻んだ名将が、最後の勝負をかける場所に関東のフィールドを選んだ。
 関東学生TOP8に復帰し、甲子園ボウルへの道が開けた立教大「ラッシャーズ」の再生に意欲を燃やすカリスマの挑戦に注目したい。(編集長・宍戸博昭)

【写真】サイドラインから選手たちに指示を出す京大監督時代の水野彌一さん