「しあわせの隠れ場所」という米国映画がある。原題は「The Blind Side」。
 この映画は、一人の貧しい黒人青年が、裕福な白人家族に助けられアメリカンフットボール選手としての才能を開花、大学で学業とスポーツを両立させプロの世界に入るというアメリカらしい実話を基にしている。


 右利きのQBにとって左側は「ブラインドサイド」と呼ばれ、相手守備の激しいラッシュが見えにくいと言われる。そこで、オフェンスライン(OL)の左タックル(LT)は、5人いるOLの中で最強の選手が務めることが多い。QBが左利きの場合は、右側がブラインドサイドになる。


 かつてジャイアンツで活躍した伝説のパスラッシャー、ローレンス・テーラー選手が、強烈なサックを連発し対戦相手のQBを震え上がらせたことが、LTを特別なポジションにしたとも言われている。


 日本時間の2月8日に開催される、NFLの2015~16年シーズン王者を決める「スーパーボウル」は、50回の節目を迎える。この試合でブロンコスと対戦するパンサーズのLTのポジションを任せられるのが、映画の主人公のモデルとなったマイケル・オアー選手である。


 29歳のオアー選手は身長193センチで体重は143キロ。彼のミッションは、味方のキーマンであるQBキャム・ニュートン選手を守ることだ。
 試合では、強くて機敏なパスラッシャーがさまざまなテクニックを使ってニュートン選手に襲いかかってくるだろう。OLはボールを持つことがない地味なポジションだが、ナンバー「73」をつけたオアー選手の出来が、勝敗の一つの鍵を握る。


 3年前のスーパーボウルで、オアー選手はレーベンズの一員として優勝を経験していて、今回勝てば二つ目のチャンピオンリングを獲得する。
 華麗なロングパスや力強いラン攻撃はアメリカンフットボールの魅力だが、「ブラインドサイド」で繰り広げられる、男たちのプライドをかけた攻防に注目するのも一興だ。(編集長・宍戸博昭)

【写真】スーパーボウルに出場するパンサーズのLTマイケル・オアー選手(右)(AP=共同)