毎年のことながら、国内のシーズンはあっという間に終わってしまう。「甲子園ボウル」「ジャパンエックスボウル」そして「ライスボウル」と、ビッグタイトルが懸かった大一番は、いずれも好ゲームだった。
 試合のリポートやその背景を伝える側としても、やりがいのあるシーズンだった。


 オフを迎え、長年日本のアメリカンフットボール界の第一線で活躍してきた選手がヘルメットを脱ぐことになった。
 日本一になったパナソニックのDL脇坂康生さんと、オービックのLB古庄直樹さん。ともに日本代表の主将を務めた功労者である。


 46歳の脇坂さんについては、昨夏の世界選手権に出場した日本代表に選ばれた時も含め、小欄で何度か紹介してきた。ライスボウルの後「進退はこれから監督と相談して決めたい」と話していたが、その表情は選手として全てをやり切った満足感にあふれていた。


 「フットボールにはいろんなことを学ばせてもらった。我慢して頑張ったら得られるものがある。人脈も作ることができた」。会社では「部長」の肩書を持つ脇坂さんの言葉は、その人柄もあって説得力がある。


 日大OBの脇坂さんと立命大OBの古庄さんは、大学4年時に優勝候補に挙げられながら甲子園ボウル出場を逃している。
 「4回生の時に甲子園ボウルに出て勝っていたら、今はなかったかもしれない」。37歳の古庄さんは2年前、インタビューでそう話していた。挫折をバネに重ねた努力が、息の長いプレーヤーとしての礎になったのだろう。


 今季もコーチ兼任だった古庄さんは、オービックのヘッドコーチに就任した。一方、脇坂さんは「アメリカに勝てる選手を育てたいという思いはあるが、コーチになるにはそれなりの勉強が必要」と、指導者への転身には慎重だ。


 いずれにしても、二人がこれからも日本のアメリカンフットボール界の発展に欠かせない人材であることは間違いない。
 古庄さんには、以前お会いした際に食べそこねた京都名物の「ニシンそば」でもすすりながら、指導者としての「哲学」を聞いてみたいと思っている。(編集長・宍戸博昭)

【写真】ライスボウルの試合後、ファンに祝福されるパナソニックのDL脇坂康生さん=1月3日・東京ドーム