昨年亡くなった作家の山口洋子さんが、ご自身のエッセイの中で「付き合うなら関西の男がいい」というようなことを書いている。
 妙に格好を付けず、いつもユーモアを忘れない。オンとオフの切り替えが早く、一緒にいて居心地のいい男性は、不思議と関西出身者に多いのだそうだ。


 劣勢の下馬評を覆し、「ジャパンXボウル」で王者・富士通に鮮やかな逆転勝ちを納めたパナソニックのDL脇坂康生選手は46歳。滋賀県の虎姫高校から始めたアメリカンフットボールは、今年で31シーズン目。強豪・日大では主将を務めた好漢は、既に今季限りでの引退を表明している。


 7月に本場米国で開催された世界選手権には、5大会連続で日本代表として出場した。真夏の代表選考過程では、若い選手に混じってハードな練習をこなし、実力で代表の座を勝ち取った。


 富士通との試合ではほぼフル出場。「今年が最後と思ってやってきた」と話す脇坂選手は、会社では「人事部長」の肩書を持つ管理職でもある。
 宴席ではほとんどアルコールを口にしないなど、徹底した節制がここまで第一線で活躍できた要因だ。


 「年齢も年齢だし、相当しんどいことをしないとこの舞台には立てない。今日もディフェンスのサインだけで何十通りのパターンあって、覚えるのが大変だった。これから1週間は体が動かないと思う」。そう言って笑う彼もまた、しんどいときほどユーモアを忘れない生粋の関西人だ。


 「正月も東京に連れてって」という家族との約束を果たした「鉄人」は、選手としてのラストゲームとなる来年1月3日の日本選手権(ライスボウル)に向けて「オフサイドしないように頑張ります」―。その勇姿をしっかり見届けたい。(編集長・宍戸博昭)

【写真】46歳とは思えないエネルギッシュな動きで勝利に貢献した脇坂選手=撮影:seesway、12月14日・東京ドーム