「ファイターズ」にとって、リーグ戦では久しぶりに聞く敗戦後の校歌「空の翼」だった。
 満員の関学大応援席に向かって整列した選手の左端に、3年生のエースQB伊豆充浩選手がいた。肩を震わせ、涙が止まらない。


 「絶対に立命に勝とうと、この2週間やってきたが、自分のミスで負けた。全て僕の責任」。記者に囲まれた伊豆選手は、声を絞り出した。


 11月22日、大阪・ヤンマースタジアム長居で行われた関西学生リーグの優勝を懸けた関学大と立命大の一戦には、アメリカンフットボールという高い戦略性が特徴のスポーツの魅力がぎっしり詰まっていた。
 しかし、勝敗を分けたのは戦術より精神的な部分だったような気がする。長年負け続けた立命大が、ライバルを気迫で上回った試合だった。


 「2000人のOBと、何万人というファン、後援者の期待に応えるのが関学のエースQB」。最近では畑卓志郎さん、斎藤圭さんがそうだったように、歴代の司令塔はこの重圧と闘いながら、チームを勝利に導いてきた。
 伊豆選手は言った。「関学のQBとして、プレッシャーを感じながら日々を過ごしてきが、負けてしまっては何もならない。チームメートともよくコミュニケーションが取れたと思うが、もっと突き詰めることはできた」


 関学大が、甲子園ボウルで大会史上初の5連覇を達成したのは1977年。「涙の日生球場」と、38年たった今でも語り草になっている京大との「死闘」を制したシーズンである。
 当時の主力メンバーだった竹田行彦現OB会長は「学生チームは毎年メンバーが替わるので、5連覇は意識していなかったと思うが、きょうは立命の執念を感じた」と話した。


 スマートなイメージが先行するファイターズは、実は崇高な精神性に支えられたチームでもある。
 「できることは全てやる」。巻き返しを誓う伊豆選手の言葉が、王者から挑戦者へ立場が変わった「青の戦士」の思いを代弁していた。(編集長・宍戸博昭)

【写真】立命大に敗れ肩を落とす関学大QB伊豆選手(6)=11月22日、大阪・ヤンマースタジアム長居