名将から、久しぶりに熱いメッセージが届いた。「水野彌一のOver The Limit」と題したコラムは、示唆に富んだ濃い内容が好評で、アメリカンフットボールファンだけでなく各方面から支持されている。


 京大の監督を勇退し、追手門学院の「スポーツコースアドバイザー」に就任した水野さんを、京都のご自宅に訪ねたのは2年前の夏だった。可能ならコラムを書いていただけないか、というお願いが主な目的だった。
 銀閣寺にほど近いお宅のガレージには、外国製のビンテージバイクが並んでいた。監督時代は、ここで選手の防具を修理していたという。


 水野さんが愛車を運転して、近くの中華料理店に連れて行ってくださった。鋭い眼光とほとばしるオーラに圧倒され、何をご馳走になったかは恥ずかしながら覚えていない。
 「一昔前は、一度に1キロの肉を食べることもあった」という話や、スポーツをする環境には恵まれていない京大を日本一にするためにどうしたかについて語る口調は熱く、引き込まれた。


 学校側との指導方針の違いから追手門学院を去った水野さんにとって、ラグビー日本代表のワールドカップでの活躍は、とても刺激的だったようだ。
 厳しい練習で選手を鍛え上げたエディー・ジョーンズ氏の手腕を絶賛するなど、手書きのコラムには指導者としての強い意欲がにじんでいた。


 「私の知っているのは、昭和のフットボールですから」と言う水野さんだが、そこに書かれた内容は、いつの時代にも共通する普遍性がふんだんに盛り込まれている。
 「本気で頂点を目指そうと考えておられる大学があるなら、小生の考える戦略を披露させていただくことはやぶさかではないと思っている」。コラムはこの一文で締めくくられている。(編集長・宍戸博昭)

【写真】昨季の関西学生リーグ入れ替え戦の後、握手する京大・西村大介監督(左)と当時追手門学院大総監督だった水野彌一さん