1年前に流した悔し涙が、うれし涙に変わっていた。6年ぶりにリーグ戦で日大を倒した早大の濱部昇監督は、いつものように言葉を選びながら謙虚に話し始めた。


 「デフェンスに新しいコンセプトを導入した。ディフェンスライン(DL)を二人にしたのもその一つ。日大はサイズもスピードもありフィジカルのレベルも高く、オフェンスが思ったより機能しなかった。ただ、不遜な言い方になるが、今年は自信を持って日大との試合に臨めた」


 DLを二人にした守備が、この試合のキーポイントだった。最前列の人数が少なく手薄に見えるので、相手はどうしてもランプレーを使いたくなる。それは早大にとっては目論見通りだった。
 「エッジ(両サイド)のコンテイン(ボールキャリアを外側に出さないように包み込む)が不安だったが、選手がうまく対応してくれた」。日大がそれまでの試合のようにパスを中心に攻撃を組み立てていたら、流れは変わっていただろう。罠にはまった関東の王者は最後まで持ち味を発揮できずミスを連発、自滅した。


 弟分の早大学院高の総監督も務める濱部監督の目標は、大学と高校での日本一獲得だが、まだ法大と慶大という強豪との対戦を残しているだけに、浮かれた様子はみじんもない。


 春の試合で、フィールドの出入りやサイドラインでの学生の振る舞いを厳しくチェックしていた姿が印象に残る。単なる「戦術家」ではなく「教育者」としての評価が高い指導者に率いられた「ビッグベアーズ」は、2010年以来となる甲子園ボウル出場を目指す。(編集長・宍戸博昭)

【写真】日大戦で選手に指示を出す早大の濱部昇監督=撮影:seesway