自宅の物置に、今でも大切に保管しているものがある。1シーズンだけ在籍した「シルバースター」のヘルメットだ。
 1981年。1年のブランクを経て、阿部敏彰監督をはじめ大学の先輩が熱心に誘ってくれたこともありチームの一員になった。数日後には、愛着のある「14」のナンバーが入った試合用のユニホームを渡された。


 当時は企業チーム全盛の時代。クラブチームを見る目は冷ややかで、老舗のシルバースターも目標を失っていた。
 この年の12月、横浜スタジアムで行われた実業団王者・松下電工(現パナソニック)との社会人選手権に勝った試合が、個人的には最後の公式戦になった。翌年から、取材する立場になったからだ。


 その後、日本選手権に衣替えした「ライスボウル」に、クラブチームは運営基盤が脆弱という理由で出場資格を与えられなかった。
 しかし、故樋口広太郎さんが社長だったアサヒビールがスポンサーになり、状況は変わる。財政面の不安が解消され、シルバースターは息を吹き返した。


 歴史のある「クラブチームの雄」が低迷して久しい。1999年度に3度目の日本一になって以降、タイトルとは無縁だ。
 その古豪に、復活の兆しがある。今季のXリーグ開幕戦で強豪LIXILに競り勝った。


 新加入のQBメイソン・ミルズ選手はクイックリリースからのパスを軸に、テンポのいい攻撃を演出する。
 軽快なステップワークとフェイクでディフェンダーをかわすプレースタイルは、かつて日大とシルバースターで活躍した佐曽利正良さんを思い出させた。ジャパニーズサイズの183センチ、88キロの技巧派は日本人QBの良いお手本になりそうだ。


 1959年に日大OBが結成した「不死倶楽部」の精神を継承し、シルバースターは1970年「日本フットボール界の輝く星になる」を合い言葉に誕生した。屈辱の敗戦を糧に巻き返しを誓う名門の挑戦は、まだ始まったばかりである。(編集長・宍戸博昭)

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