立秋を迎え、連日の猛暑が少し和らいだような気もする。各チームは合宿練習の時期を迎え、秋の本番に備えている。
 5年連続学生日本一を目指す関学大も、恒例の東鉢伏高原での強化合宿を開始した。過去4シーズン、甲子園ボウルは通過点と位置づけ「打倒社会人」を目標に掲げてきた孤高の大学王者が、本格的なチーム作りに励んでいる。


 2003年8月。関学大の夏合宿中に、残念な事故が起きた。当時4年生で守備の要だったLB平郡雷太さんが、練習中に倒れ急性心不全で亡くなった。チームは事故当時の様子を詳細な報告書にまとめ、ご遺族に提出するとともに、報道機関に公表した。
 関学大は平郡さんが亡くなったことで自省し、あらためて「安全に、強く」を標語に掲げて安全対策を強化しながら日本一を目指してきた。シーズン最初には、高等部、大学の部員全員が参加しての安全対策講習会を毎年開いている。


 頭頸部の外傷についてそのメカニズム、予防法、正しいヒットの技術を、チームの責任者やトレーナーが説明。全米トレーナー協会等が提供している安全対策ビデオ「Heads Up」を全員で見る。
 日本アメリカンフットボール協会の調査では、重篤な事故は8月に最も多く発生している。各大学は秋のシーズンに向けたチームの強化に取り組むに際しては、選手の安全に対する細心の注意が求められる。


 ファイターズは平郡さんの死を悼み、亡くなった翌年の04年、西宮市上ケ原のグラウンドに碑文が刻まれたプレートを設置し、ヤマモモの木を植えた。今でも現役の学生はもちろん、関係者が手を合わせ安全への意識を高めているそうだ。
 2015年8月16日は、フットボールをそして何よりファイターズをこよなく愛した平郡さんの十三回忌である。(編集長・宍戸博昭)

【写真】2004年3月、上ケ原のグラウンド近くに故平郡雷太さんの記念碑とともにヤマモモの木が植えられた=写真提供・関西学院大学アメリカンフットボール部