成田空港で行われた日本代表の帰国記者会見で、森清之ヘッドコーチは言った。「アメリカに完敗したが、選手はよくやってくれた。力の差はあった。これが現実だが、負けて悲観することもない。いい方向に向かっているかなと思う」


 世界選手権で3大会ぶりの王座奪回を目指した日本は、過去最強のチームで臨んだ米国に決勝で敗れた。インターネットの中継画面からは、1週間で3試合という過密日程で疲れている日本選手の姿が伝わってきた。
 選手が実際にフィールドで体感した「米国代表」は、超一流選手こそいなかったが、随所に本場の底力を見せつけた。


 「全部が駄目だったわけではなく、例えばライン戦はこれまで以上に対抗できた。最初からあきらめたゲームプランを立てるのではなく、これぐらいはできるだろうという形で臨めた」。淡々と大会を振り返る森さんの横で、同席した選手がうなずいていた。
 4年に一度の世界選手権。その度にチームを編成しコーチ陣を任命するわけだが、準備期間を含め、代表を取り巻く環境が前回より改善されていただろうか。


 森さんは「現場のコーチとしては、与えられた環境で工夫して強いチームを作ることが大事」と言う。他の競技に比べて、決して恵まれているとは言えない環境で「結果を出すことが、メディアなどの露出を増やすことにつながる。そういう部分では責任を感じている」という謙虚な言葉で会見を締めくくった。


 会見の冒頭、日本協会が異例のコメントをした。「U―19、大学選手権を含め、国際大会に向けた反省として、我々はその大会にチームを派遣するにとどまっていた。今後は、世界に通用する選手を育成することが大切になる」
 代表は選手の誰もが憧れる存在であり、コーチもチームの強化に積極的に参加する。そうした雰囲気づくりに、協会として本腰を入れようということなのだろう。


 現場が手弁当でやりくりしている現状では、代表チームの充実も競技の発展も望めない。自チームを離れ、代表のために全力を尽くした選手やコーチが「貧乏くじ」を引くようなことだけは、絶対にあってはならない。(編集長・宍戸博昭)

【写真】帰国記者会見で世界選手権を振り返る日本代表の森清之ヘッドコーチ=7月20日、成田空港内