当初ホスト国になるはずだったスウェーデンが開催権を返上し、世界ランキング2位のカナダが大会直前に出場を辞退。開幕前にごたごたが続いた大会で決勝に進出した日本は、本場・米国に敗れたとはいえ、その健闘ぶりは称賛に値する。


 準決勝では、体力面で上回るメキシコを、緻密な戦術と細かい技術で蹂躙した。まさに日本のアメリカンフットボールの成熟度を見せつける試合だった。


 しかし、フィジカル面、戦略面で隙のない米国相手にはそうはいかなかった。森清之ヘッドコーチは、決勝でQBを走らせる作戦を示唆していたが、うまく機能しなかった。
 加藤翔平(LIXIL)は、パサーとしてコーチ陣の期待に応えた。もう一人のQB高田鉄男(パナソニック)は、ベテランらしいうまさを発揮したが、全盛期の機動力を備えていれば、という思いが残る。


 ただ、相手DBを自慢のスピードで攻略したWR栗原嵩(IBM)、小柄ながら、持ち前のエネルギッシュなプレースタイルでさまざまな場面ではつらつとした動きを見せたWR宜本潤平(富士通)の活躍は、今後の日本代表のスキルポジションに可能性を感じさせた。


 ディフェンスでは、DB陣の動きが光っていた。三宅剛司(オービック)は、絶妙のポジショニングと確実なタックルで、再三チームのピンチを救った。
 藤本将司(オービック)、辻篤志(パナソニック)、砂川敬三郎(オービック)のカバー能力も秀逸で、米国のレシーバーを苦しめていた。


 代表チームの強化体制にも再考が必要だ。4年に一度の世界選手権とはいえ、定期的に代表として活動する環境が欲しい。極端に少ない練習時間では、チームとしての一体感は生まれない。
 それには、日本協会の協力と努力が不可欠である。コーチ陣の専従制度、財政面の充実など、実際にフィールドで戦う選手やコーチには力が及ばない部分での手厚いサポートが必要だ。


 4年後の2019年大会では、今回の主力の大半が入れ替わる可能性が高い。5大会連続出場を果たした46歳のDL脇坂康生(パナソニック)が、チームのまとめ役の一翼を担っていたのも気になる。
 日本のアメリカンフットボール界を牽引する、強烈な個性と実力を兼ね備えた若手リーダーの出現に期待したい。(週刊TURNOVER編集長・共同通信社記者 宍戸博昭)

【写真】世界選手権で活躍が目立った日本代表DB陣。(左から)辻、三宅、藤田=撮影:Yosei Kozano