日本が3大会ぶりの優勝を目指す、第5回世界選手権の舞台となるカントンは、米国内でもアメリカンフットボールが盛んな米オハイオ州の北東部に位置する。「プロフットボールの殿堂」があることでも知られる、人口約7万人の都市である。


 今から30年以上前、同じオハイオ州の州都コロンバスに、1年ほど滞在したことがある。
 アメリカンフットボールに明け暮れた大学の4年間はそれなりに充実していたが、社会に出る前に、違う学生生活を経験してみたいという理由で渡米した。

 昨シーズンの全米王者になったオハイオ州立大のキャンパスがあるコロンバスには、当時ほとんど日本人がいなかった。「フットボールをやっていた」と言っても、相手にしてくれないか「どんなフットボールだ?」と聞かれるのがおちだった。


 ある日、ホームステイ先の子どもたちと、広い庭でキャッチボールをしていたら、近所の小学生がたくさん集まってきた。自然にタッチフットボールが始まった。
 こちらも、半年前には大学日本一になったチームの一員だったプライドがある。熱くなって本気を出すと、彼らも闘争心をむき出しにしてきた。
 結果は、体力で上回る大人の日本人の圧勝。以後、週末は大勢の少年たちと楽しい時間を過ごすことになる。


 過去最強の布陣で臨むことが予想される米国代表を倒すのは至難の業だが、「志はあくまでも高く」である。
 「聖地」で、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか。知将・森清之ヘッドコーチが率いる「日本代表」には、目の肥えた本場のファンに、80年の歴史を持つ日本のアメリカンフットボールの神髄を存分に披露してきてほしい。(編集長・宍戸博昭)

【写真】第5回世界選手権の舞台、米オハイオ州カントンにある「フォーセットスタジアム」(AP=共同)