一流のアスリートは、強い意志で自らを律することができる。日頃から節制し、最高のパフォーマンスをするための準備を怠らない。


 7月の世界選手権に出場する日本代表の2次候補選手が発表され、46歳のDL脇坂康生選手(パナソニック)が55人の中に名前を連ねた。
 1次候補に選ばれた脇坂選手を、この「編集後記」で取り上げたのは4月3日。それから2カ月、会社で人事部長の要職にある彼は、時間を見つけてできる限りの努力をしてきた。


 6月15日に発表される45人の「日本代表」に選ばれれば、第1回から5大会連続出場となる。「前回大会でアメリカと対戦できなかったのが心残りで、今回の挑戦を決めた」という。
 主将を務めた前々回の川崎大会決勝で敗れた米国との対戦が、大ベテランの一番のモチベーションになっている。


 滋賀県の進学校・虎姫高校から「高校時代に完敗した関学を倒すため、日大に進学した」。猛練習で知られる日大での毎日は、「想像以上に厳しかった」と振り返る。
 代表の選手選考では、過去の実績やいかに努力したかは一切考慮されない。もちろん本人もそれは承知している。ただ、経験で培った抜群の対応力は、若手にはない魅力だ。


 代表候補の強化練習では、年齢が二回りも違う大学生とぶつかり合い、必死で「生き残り」を目指す姿があった。
 人事を尽くして天命を待つ。愛用するフェイスマスクに“時代”を感じさせる「レジェンド」は、どんな結果も受け入れる心の準備はできている。(編集長・宍戸博昭)

【写真】2007年川崎大会の決勝で米国に敗れ、肩を落とす脇坂選手(左)と日本代表の大橋コーチ=撮影:Yosei Kozano