今年もうれしい贈り物が届いた。関学大アメリカンフットボール部の公式ホームページに連載されている、コラム「スタンドから」の総集編「栄光への軌跡」である。
 筆者は、「TURNOVER」でも何度か登場している、元朝日新聞記者で和歌山県田辺市にある新聞社、紀伊民報の編集局長・石井晃さんだ。大学日本一になった年にだけ編纂される総集編には、名文記者ならではの鋭い視点ですくい上げた、母校への愛情にあふれるコラムが日記のように並んでいる。


 巻頭でファイターズの小野宏ディレクターが「書く力」と題した文章を寄せている。その中に、昨年12月23日付の「足下のゴミ」というコラムを紹介した一文がある。
 そこには、部室横の倉庫のドアに「足下のゴミ一つ拾えぬほどの人間に何ができましょうか…」という張り紙をしたのが1年生だったことに驚いた石井さんの様子が記されている。自分たちの共同空間を利用する際のモラルを1年生が注意喚起する。風通しの良さ、上下関係の垣根の低さがチームの強さの本質であるという筆者の指摘を代弁している。


 小野さんはまた、石井さんのような達人の域に達することは難しいとした上で「書く力」を持つことを卒業生に説いている。「それを磨くことは、人生をさまざまな形で豊かにする」。読書など、知性を養う日頃の作業が不可欠であると言っているようにも読み取れる。


 最後に栄冠を手にするのは、グラウンドでの練習だけではない、日々の努力を怠らないチームなのである。ファイターズの奥深さを提示した冊子には、「強い組織づくり」のヒントが、ふんだんに散りばめられている。(編集長・宍戸博昭)

【写真】「栄光への軌跡」2014年度版