母校のことは極力書かないようにしてきた。持ち上げても批判しても、真意が伝わりにくいからだ。だが、今回は個人的な意見を述べてみたい。
 日大は甲子園ボウルで関学大に10―55の大差で敗れた。試合後、寒空の下で日大の選手がメディアの質問に精いっぱい答えていた。惨敗を振り返るのは、つらかっただろう。
 内田監督はなかなか記者の前に姿を現さなかった。こういう試合の後だからこそ、真っ先に出てきて話をしてほしかった。対応に苦慮する主催者が気の毒だった。


 内田監督は決して冗舌ではないが、まじめで実直な人である。大学時代センターだった彼は、どこにスナップを出したらQBが次の動作に移りやすいかまで考え、黙々と練習に励んでいた。その姿を知る一人として、今回の対応はとても残念である。


 QBの高橋、西澤は来年3、4年の上級生になる。岩松、西村の両エースWRも最上級生になる。いずれも下級生の時から試合経験を積んでいて、今年以上の活躍が期待できる逸材ばかり。そうした選手を獲得し育てた手腕は評価されるべきである。


 飛行機のように両手を広げて入場してきた選手がいた。控え室で感極まり、涙を流してフィールドに走り込んできた関学大の選手たちとは、対照的だった。「らしさ」が失われていくのはとても寂しい。


 「試合前、学生の思い詰めたような緊張感あふれる顔を見たとき、これはいかんと思った。こういうときの日大は隙がない。勝負はあのときに決まっていた」。日大が最後に甲子園ボウルを制した1990年、対戦した京大を率いた水野前監督は、こう述懐している。


 名門チームには「命がけで守るもの」があるはずだ。いつの時代も「フェニックス」は「フェニックス」であり続けてほしい。一OBの切なる願いである。(編集長・宍戸博昭)

【写真】関学大に敗れ、肩を落とす日大の選手たち=14日、甲子園