最近とても気になる人がいる。教育者として、学生と真摯に向き合う早大の濱部昇監督である。長く早大学院高の監督を務めた濱部さんは、大学が2年前の夏合宿中に起こした不祥事の責任をとった前任者を引き継ぎ、「監督代行」という肩書で指揮を執った。
 昨年、監督に就任しチームの再建に腐心してきた。優勝候補にも挙げられていた今季、「ビッグベアーズ」は日大、法大に惜敗し2勝2敗。優勝戦線からは脱落した。4点差で敗れた法大戦。試合後、自らの指導力不足を語る濱部さんの目は真っ赤だった。


 チームの主力は、4年連続で日本一になった早大学院高の選手が大半を占める。高校からの教え子が多く、人材に恵まれているように見えるが、51歳の監督は「私が大学に来たことを歓迎する人もいれば、そうではない人もいる」。リーダーとして組織を運営する難しさがにじむ。


 「日本一になるには、それなりの取り組みをしなければいけない。細部にこだわった練習ができたか。あと一歩が出せたか出せないかで、結果は大きく変わってくる」
 爽やかなたたずまいと語り口が印象的な彼は、こうも言った。「フットボールは人間が成長するスポーツ」。リーグ戦はあと3試合残っている。年上のOBも一目置く人格者が、目標を失ったチームをどう立て直すのか、注目したい。(編集長・宍戸博昭)

【写真】早大学院高を日本一に導き、昨季から早大を率いている濱部監督=2013年、駒沢陸上競技場