強豪チームが新興チームの術中にはまり、態勢を立て直せないまま敗戦を迎える。過去に何度も見たことがある光景だった。
 9月21日、東京の佼成学園グラウンドで行われた秋季高校東京都大会3回戦。春の関東王者・日大三高が、周到な準備で試合に臨んだ足立学園高に7―21で完敗した。
 8月のある日、今年度いっぱいで教員としての定年を迎える漆間健夫監督(65)を、東京都町田市にある日大三高グラウンドに訪ねた。歩くのも困難な重度の腰痛は1カ月たっても治らず、試合中はサイドラインに車いすを持ち込み、采配を振るっていた。
 いわゆる「名物監督」が率いるチームは、監督の精神、健康状態がそのまま選手のパフォーマンスに影響する。いつものように厳しい表情と言葉で士気を鼓舞したが、最後まで試合の流れを引き寄せることはできなかった。
 高校フットボール界で一時代を築いた指揮官に「花道」を、という思いが気負いにつながったのかもしれない。試合後泣き崩れ、しばらく動けない主将の姿が痛々しかった。
 「個人商店のようなチームには限界がある」。体調を崩し、大事な試合で負け続けた日大の篠竹幹夫監督は、晩年よくこう話していた。コーチ陣の充実など、総合的なチーム強化の必要性を、カリスマ監督は強く認識していたのである。(編集長・宍戸博昭)

【写真】東京都大会の3回戦で敗れた日大三高=9月21日、佼成学園グラウンド