行きつけの炉端焼き店のオーナーは、大のスポーツ好き。若い頃は腕利きの「ひよこの鑑別士」として、ヨーロッパとアメリカを渡り歩いた強者で、作家の故井上ひさし氏の作品の中にも登場している。
 鑑別士は親指でひよこのお尻を触り、瞬時に雄と雌を見分ける特殊技能が要求される。何万羽のひよこを一定の時間内に判別し、正解率が98%以上でないと、次から仕事がこなくなるという。スポーツ同様、ここ一番での「集中力」が勝負なのだそうだ。
 ブラジルで開催中のサッカーのワールドカップで、日本は1次リーグの2試合を終え1分け1敗の勝ち点1。決勝トーナメント進出は極めて厳しい状況だ。初戦のコートジボワールとの試合では、後半に集中力が散漫になったところをつけ込まれ、逆転された。
 流れの中でチャンスをつくり出すサッカーに比べて、事前に用意した作戦を粛々と遂行するアメリカンフットボールは、偶然が勝敗を左右する確率が低い。ただ、集中力をいかに持続させるかは、勝つための大事な要素であることに変わりはない。
 7月に開催されるU―19世界選手権の舞台はクウェート。真夏の中東での試合は夜に行われるが、「ザックジャパン」が高温多湿の中で集中力を欠き、本来の力を出し切れなかったことを考えると、綿密に対策を練る必要がありそうだ。(編集長・宍戸博昭)

【写真】日本―コートジボワール 後半、ドログバ(左)と競り合う本田=レシフェ(共同)