入学試験が終わり、私大では合格発表の季節を迎えている。3月になると、最難関の東大や京大では、合格者を体育会の学生が胴上げするシーンが見られる。人材確保が全てと言える国立大では、あの手この手で新人勧誘に奔走する。
 今はもうないそうだが、有名なのは6度の大学日本一に輝いた「京大ギャングスターズ」の部員獲得作戦だ。体の大きい新入生に特大のトンカツを振る舞い、練習に参加してもらう。ご馳走になった新入生の中には、高校ではスポーツと無縁の生活をしていた「金の卵」も少なくない。そこから日本一を狙うチームにするのである。
 スポーツ推薦のない京大は、与えられた〝食材〟でいかにおいしい料理を作るかが勝負になる。そこで監督、コーチは己を磨き、学生を惹きつける「言葉」を身につける。
 リクルートで適材適所に人材を獲得し、理想とするチーム作りが比較的しやすい私大の指導現場は、ややもするとこのあたりの努力がおろそかになる。我が身を振り返っても、学生はリーダーの覚悟に満ちた言葉に奮い立ち、その行動をつぶさに観察しているものである。(編集長・宍戸博昭)

【写真】東大の前期日程入試の合格発表で、フットボール部員に胴上げで祝福される受験生=2010年