細かい戦術や技術のことは分からなくても、人を見極める「眼力」がある人物の意見は、時に監督やコーチが見落としている細部に光を当てる。
 以前、この欄で紹介した関西学院出身で元朝日新聞編集委員の石井晃さんから、ご自身がシーズン中にしたためたコラム「スタンドから」の総集編が届いた。甲子園ボウルで優勝した年にしか発行しないという冊子を読むと、ファイターズの一年間が鮮明に浮かび上がってくる。
 巻頭に、昨シーズンからチームのディレクターに就任した小野宏さんの一文がある。大学職員になる前は新聞記者をしていた小野さんは、多くの人がエースQBとして疑問符をつけていた斎藤圭選手について、石井さんは「必ず斎藤は成長する」と断言していたことを紹介。さらに、試合だけでなく、忙しい合間を縫って練習にも足を運ぶ石井さんならではの慧眼(けいがん)が、このコラムには凝縮されているとも書いている。
 関大戦の後の、昨年11月11日に掲載された「神は細部に宿る」では、選手個々のプレーについて、独自の見方で詳述している。「栄光への軌跡」と題した総集編。小野さんは「省察は人の成長に必須のプロセス。それを助けるこの冊子は、今年一年間戦い抜いた部員たちへの、石井さんからの珠玉の贈り物である」と結んでいる。(編集長・宍戸博昭)

【写真】石井晃さんのコラム「スタンドから」がまとめられた「栄光への軌跡」