大きな期待をかけられながら、それに応えられなかったスポーツ選手の心境は察してあまりあるが、競技終了直後に話を聞くという役回りも、またつらいものである。
 ロシア有数のリゾート地ソチで開催されている冬季五輪。スキージャンプ女子で4位に終わり、メダルに届かなかった高梨沙羅選手にマイクを向けた、NHK工藤三郎アナウンサーの心温まるインタビューに称賛の声が上がっている。
 ともすれば敗因や技術論に話を持っていきがちだが、工藤さんは傷心の17歳をいたわるような質問に終始し、最後は「よく頑張りましたね」というねぎらいの言葉で締めくくった。
 豊富な五輪取材を経験しているベテランらしい選手への配慮が、短いインタビューの中で随所に込められていた。
 NHKの大リーグ中継などでもおなじみの工藤さんは、解説者の行き過ぎたコメントにチクリとくぎを刺すことがある。言葉の大切さを誰よりも理解しているアナウンサーだからこそのこだわりと見識。同業者として学ぶことが多い秀逸のインタビューだった。(編集長・宍戸博昭)

【写真】ジャンプ女子でメダルを逃し、目に涙を浮かべながら引き揚げる高梨沙羅=ソチ(共同)