「同じ釜の飯」を食った仲間はいいものだ。余計な前振りがなくても、すぐに昔話に花が咲く。お互い、自分のことより相手のことをよく覚えているのが面白い。
 日大と社会人のレナウンでQBとして大活躍した鈴木隆之君が、シニアフットボールで〝復活〟した。温厚な人柄。親しみを込めて後輩から「タカユキさん」と呼ばれる彼は1979、80年に年間最優秀選手に贈られる「ミルズ杯」を史上初めて2年連続で獲得した選手であることは、オールドファンならご存知だろう。
 1月12日に川崎球場で開催された「シニアボウル」。U―59ersの選手として、おなじみの背番号「10」をつけた彼は、後輩の松岡秀樹君と恩師・篠竹幹夫前日大監督が編み出したQBが縦に並ぶ「ドラゴンフライ・フォーメーション」を披露した。自らボールを持って走るQBスニークもコール。これには対戦相手のベンチからもため息が漏れた。
 決して俊足ではなかった彼は、パスに活路を求めた。1年生だった77年に国立競技場で行われた米国の強豪ブリガムヤング大との試合では、2TDパスを決めて本場のコーチの度肝を抜いた。篠竹さんも後年「鈴木のパスは一級品だ」と述懐している。
 試合後の懇親会。話は尽きず、家族以上に時間を共有した合宿所での生活や猛練習に明け暮れた日々の思い出が、昨日のようによみがえってきた。「まだまだやりますよ」。自慢の後輩は肩をさすりながら、いつもの人なつこい笑顔でこう言った。(編集長・宍戸博昭)

【写真】第1回シニアボウルでチームをけん引したU―59ersのQB鈴木(左)と松岡=12日、川崎球場