「U―17スウェーデン代表強化合宿」


 私がチームドクターとして帯同するウプサラ86ersはトップリーグ決勝に進み、5連覇中のカールスタッド・クルセダーズと対戦することになりました。
 準決勝の翌週の練習では、リラックスした雰囲気の中で最終調整と戦術の確認を行いました。テレビ局のクルーが練習場に来てインタビューを撮影し、地元の新聞には「86ers予想外の快進撃」という記事が掲載されました。


 昨年秋のスウェーデン対フィンランドの代表戦に参加した時に、今後もスウェーデンアメリカンフットボール協会(SAFF)のお手伝いをしたいという意思を伝えており、今年の春、正式に協会のメディカルスタッフの一員になることができました。
 シニアだけでなくジュニア代表も担当するので、より経験を積むために今季は86ersのU―17チームの試合にも帯同し、フラッグフットボールの地方大会にもマッチドクターとして参加しました。


 SAFFの組織するスウェーデンアメフトリーグは、シニアリーグの下にU―15、U―17、U―19の年齢別のリーグがあります。
 U―17は17チームが三つの地域リーグに分かれてリーグ戦を行います。なおスウェーデンには高校、大学のアメフト部のリーグ戦はありません。また、スウェーデン代表はU―17、U―19、U―23、 そしてシニア代表のカテゴリーがあります。
 ヨーロッパでは、実力の拮抗した国同士で各世代の国際試合が容易に組めることが、日本よりも恵まれた点と思われます。


 スウェーデンU―17代表は10月にフィンランド戦が予定されていて、そのために開催された強化合宿に私も帯同しました。
 その合宿の練習初日は、トップリーグの決勝と同じ7月9日で、午前の練習後に選手やコーチとともに決勝会場までバスで移動する予定が組まれていました。


 この合宿では、初顔合わせのコーチ陣やスタッフと積極的に交流を図り、彼らの経歴や所属チームについての情報などを教えてもらいました。
 コーチはU―17世代の各クラブチームの若い指導者が集まっていて、現役シニア代表選手も含まれていました。彼らはコーチ歴が短く、コーチングの修行中でもあるという印象を受けました。


 U―19代表のベテランコーチが視察に来ていて、練習メニュー等について意見交換を行っていました。
 また、女性コーチも一人いました。コーチだけでなく、女性のオフェンスラインの選手が一人、男性に混じって練習に参加していました。これは日本ではあまり考えられないことのように思いました。


 今回の合宿の食事は、使用グラウンドを本拠地とするチームのスタッフ数人が担当してクラブハウスで調理していました。
 ちなみに朝食はオープンサンドイッチ、昼食は初日はチキンのホワイトソース煮とライス、サラダ、2日目はチキンのカレー風味サンドイッチでした。間食として果物とジュース等が常備されていました。なお、選手とコーチの宿泊施設は近所の高校の寮を利用していました。


 この15歳から17歳までの世代は成長期で体格や筋力の個人差が大きく、接触プレー等でけがをする可能性は高いように思えたので、私は練習を常に注視していました。
 通常はアスレチックトレーナーと医師のコンビで代表チームに帯同しますが、今回のメディカルスタッフは私だけでした。


 実戦練習で数人のけがの対応を同時にする必要があった時は、用具係の方にも補助をしてもらいました。
 これは、数人のアスレチックトレーナーがウプサラに帯同していたU―23大学日本代表の体制とは大きな差があると言えるでしょう。


 一方、コーチ体制に関しては、全てのポジションのコーチがそろっていました。2日間、各部門に分かれて熱の入った指導を選手達は受けていました。
 彼らはセレクションも兼ねたこの合宿で、コーチにアピールする必要もあります。テーピングやアイシングをしながら選手と話をして、所属チームや今後の目標について聞いてみました。スウェーデンアメフット界のこれからを背負う彼らと交流でき、いい刺激になりました。


 初日の午前練習と昼食の後、トップリーグ決勝が開催されるストックホルムのオリンピックスタジアムに選手コーチ一同バスで移動しました。
 選手は課題を持って観戦、代表コーチは各チームのコーチの動きに注視して後でディスカッションをしたそうです。
 現地で彼らと別れ、男子決勝に先立って行われた女子リーグ決勝をスタンドで観戦した後、男子決勝前の練習が始まったスタジアムのサイドラインに立ちました。いよいよ決戦です。


山本慎治プロフィル
 日本、アメリカの病院の一般外科、臓器移植外科で勤務した後、2005年からスウェーデンに移住、現在はウプサラ大学病院移植外科に外科専門医として勤務。14年の第1回大学世界選手権の日本代表チームに帯同。その後、スウェーデンのアメフトトップリーグ「スーパーシリーズ」所属のクラブチーム 「Uppsala 86ers」のチームドクターを務めている。今年からスウェーデンアメリカンフットボール協会のメディカルスタッフとして、各世代の男女スウェーデン代表チームに帯同している。

【写真】U―17スウェーデン代表の強化合宿でディフェンスを指導する女性コーチ=撮影:山本慎治