朝夕はすっかり秋らしくなってきました。こちら清里高原はすでにツタウルシやナナカマドの葉が色づき始めています。
 今年の夏は猛暑、そして日照り続きでしたね。全国各地でたくさんの暑い、熱い夏合宿が行われたことでしょう。


 私も大学生、そして高校生と一緒に合計9日間の合宿を過ごさせていただきました。栄養士としてはどれだけのことができたかわかりませんが、とにかく料理は一生懸命作ったつもりです。
 あるスポーツトレーナーさんとお話をしました。「選手の食事で、大切なことって何だろう…。」出た結論は、「美味しいこと」に落ち着きました。


 栄養価が高くても、美味しくなくては食は進みません。栄養補給のタイミングがベストでも、全部吸収されて始めてこそ、体作りや疲労回復の一助となります。そんな味覚を刺激する食事こそ、本当のサポート食と言えるのではないでしょうか。


 今年の夏、そういった意味ではナンバーワンだったのは、フルーツとヨーグルトで作ったドリンクす。“ただのドリンク、されどドリンク”なのです。


 こんな背景がありました。地元農家さんが選手にたくさんの清里夏いちごを差し入れしてくださったそうです。粒の大きさがさまざまな夏いちご、とっても酸味が強いのが特徴です。学生さんは食堂に持ち込んでくれました。
 受け取った私たち、「さて、どうしようかな…」。献立に組み込むとすれば、デザートかドリンク。ならば練習直後にさっぱりしたドリンクにしたかったのです。


 酸味が効いている分、乳製品とよく合います。キープ協会には自慢のジャージーミルクがあります。ジャージーの飲むヨーグルトとあわせることでベースは決定。ここに栄養面を考えて少々の炭水化物をプラスしたく、甘味や口当たりも良くなるバナナを追加することにしました。
 これでビタミンたっぷり、たんぱく質確保、炭水化物も少々のドリンクの出来上がりです。甘味もフルーツとバナナ、ほんの少々の砂糖で十分です。


 選手の声は、「うまい!」の一言をいただきました。これが、私としては「一番の喜び」です。栄養的にもばっちり、そして、美味しい。そんな栄養補給でありたいと心の底から思った瞬間でした。


 「食べなさい!」の一言は何度でも言えます。でも、美味しいものは声かけなしで自然に「おかわり!」になるので、量も十分に取れます。そんな、自然な形の食事の機会を増やしたいものです。


 清里高原にあるキープ自然学校は標高1250メートルにあります。高原とはいっても、今年は気温30度を超える猛暑でした。
 午前中の練習が終わって、食事は11時30分に設定されていました。このタイミングで必要な栄養補給は午前練習のリカバリーと、午後への栄養補給です。


 午前練習が筋肉強化目的の練習でなければ、たんぱく質の補給に特化する必要はありません。それよりは消耗した水分とエネルギーをしっかりと補い、疲労を回復させることを考えます。
 それには消化の早いドリンクは有効です。しかも、フルーツや野菜、果汁100%ジュース、ヨーグルト、牛乳などを使用してバランスよく栄養を含むものになっていれば最高です。
 夏は冷たいドリンクがのど越しもよく心地よいと思います。これから少し肌寒くなってきたら、ホットドリンクや味噌汁などの汁物も有効なのではないでしょうか。


 さて、秋のリーグ戦もいよいよ始まります。長い期間のリーグ戦です。学業やお仕事との両立も大変なことでしょう。
 自分の体力維持は自分の責任となるわけですが、食事には疲労回復とエネルギー補給の鍵が絶対に含まれています。どうか皆様の一回一回の食事が無駄になりませんように、けががつきもののアメリカンフットボールですが、少しでもリスクが少ない状態で長丁場を乗り切れますように。私もスタンドから応援させていただきます。


大柴 由紀(おおしば・ゆき)プロフィル
 管理栄養士。奈良女子大学食物学科卒業後、大阪市立環境科学研究所附設栄養専門学校で栄養士免許取得。1998年財団法人キープ協会入社。レストラン勤務の傍ら、料理に自然の恵みを表現するため、八ヶ岳の自然を大切に循環型農業で米や野菜を育てる農家との交流を深める。2000年7月キープ自然学校開校。アメリカンフットボールと出会う。公益財団法人キープ協会勤務。学校法人新宿調理師専門学校講師、日本ウエルネス学会常任理事、山梨県栄養士会理事を務めている。

【写真】清里いちごとジャージーヨーグルトのドリンク