「プレーオフ進出をかけた戦い」

 スウェーデンのアメリカンフットボールのトップリーグ、スーパーシリーズはサマーブレーク後の戦いに突入しました。
 86erは7試合終わった段階で4勝3敗の勝ち点8の3位につけています。10試合終了時で4位以内だとプレーオフ進出となります。


 7月31日は、今季8試合目は、ホームで大差で勝っているヴェステロース・ローディアーズとのアウェーでの対戦です。


 午後7時に試合が開始しました。この試合も実力差を見せつける大量得点差の試合展開を予想しておりました。しかしながら、オフェンスはWRが落球を繰り返すなど不調で、ディフェンスは押し込まれたところで相手のミスで助かるといった展開でした。
 サイドラインから見ていて「どうしたんだウプサラ?」といった内容でした。前半は15―7とリードして終了しました。


 後半もパスインターセプトを許したり、相手のラン攻撃に対応できなかったり、といったウプサラの拙攻と守備の綻びが目立つといった試合展開でした。
 結局、22―7で勝利したものの、これでは、強豪とのプレーオフ、どう戦うのか、という不安が残りました。試合後のコーチもオーナーも渋い表情でした。さらに、数人の負傷者もでました。


 サマーブレーク明けで、選手もチームとしてもまだ本調子ではなかった、エースRBが体調不良で試合に不参加であった、ディフェンスのレギュラー2人が旅先で感染症にかかり試合に不参加であった、新戦力のディフェンスの選手と周囲の息が合わなかったなどが、今回の低調なチームのパフォーマンスの理由としてあげられました。
 そして、次の試合まで2週間あいており、それらは十分調整、改善できるであろうと思われました。


 そしてこの勝利で、5勝3敗で3位をキープできました。次の試合に勝てば、プレーオフ進出決定というところまできました。


 次の週末は試合がなかったのですが、大きなニュースが飛び込んできました。
 8月8日、ティーレソー・ロイヤルクラウンズ対カールスタッド・クルセダーズの全勝対決が行われ、ティーレソーが34―30でカールスタッドを接戦の末、敵地で破るという結果となりました。

 チーム力が拮抗していたとはいえ、昨年から無敗の王者カールスタッドがまさかの敗戦となりました。
ティーレソーは8月15日の試合も勝利して、10勝0敗の成績でリーグ戦を首位で終えました。
 そして8月16日、ウプサラ86ersの今季9試合目、ホームにここまで2勝6敗のリムハムン・ グリフィンズを迎えました。
 すでにプレーオフ進出の可能性がない相手チームと、この試合で勝てば決定という我々とではモチベーションも違っております。
 この試合は、American Football International (AFI)のサイトでも今週のトピックとして取り上げられておりました。http://www.americanfootballinternational.com/livestreampreview-sweden-the-uppsala-86ers-take-on-the-limhamn-griffins/


 晴れた日の午後4時に試合が開始しました。最初の86ersのドライブで早々にタッチダウン。しかし、次のドライブではゴール前まで迫ったもののタッチダウンが奪えませんでした。
 しかし、ディフェンスがすぐさまターンオーバーを奪ってからはオフェンスも本来の力を出し始めました。タッチダウンを重ね、前半終了間際には44―6と大差を奪いました。
 そして、そこから時計を止めないランニングクロックの試合となり、結局、52―6で試合終了、昨シーズン果たせなかったプレーオフ進出を決定しました。ヘッドコーチもコーチ陣も、選手達の健闘をたたえていました。


 試合後は選手達とスポーツバーのオープンテラスで勝利の祝杯を挙げました。おいしいビールとなりました。


 リーグ戦の最終日は4試合が行われます。すでに10試合を終えたティーレソーが首位で、9試合で1敗のカールスタッドの2位が確定しております。しかし、3位と4位、すなわち、プレーオフトーナメントの組み合わせ(準決勝は1位と4位、2位と3位が対決)はまだ確定しておりません。
 ここまで6勝3敗でウプサラとオレブロが並んでおりますが、ウプサラが直接対決で勝っているため、10試合が終わった段階で2チームが7勝もしくは6勝で並んだ場合にはウプサラが3位となります。しかし、ウプサラが負けてオレブロが勝った場合にはウプサラが4位となります。


 最終戦はオレブロはここまで勝ち星なしのストックホルムと対戦し、ウプサラはアウェイで5位のクリスチャンスタッド・プレデターズと対戦します。
 ウプサラとしては最終戦に勝って、プレーオフ準決勝、アウェイでのカールスタッド戦に弾みをつけたい、というふうに考えています。


 三つの上位のチームの実力が拮抗している今シーズン、直接対決をすべて制したティーレソー、ティーレソーには敗れるもウプサラに2勝のカールスタッド、そして全て敗れたウプサラ、プレーオフでの勝敗のカギを握るポイントは何なのか興味がありました。
 スウェーデン大学チーム代表のファビアン・セーデルベリに話を聞いてみると、QBの経験と実力では3チームではウプサラが一番ですが、もちろんそれだけで試合が勝てるわけではありません。攻撃、守備、戦術、メンタル、チームの総合力の勝負になります。
 あと、今年と去年でこのチームが違っていることは、試合前のあらゆる点での準備が今年の方が上回っている、とのことでした。


 ディフェンスコーチも「楽しみだな、シンジ、遠征、そして準決勝、そして決勝だ!」と目を輝かせておりました。
 最終戦、そしてプレーオフと今季のクライマックスが近づいてきました。
(つづく)


山本慎治(やまもと・しんじ)プロフィル
 1969年生まれ。外科医。日本、アメリカの施設で腹部一般外科、臓器移植外科で勤務した後、2005年からスウェーデンに移住、現在はウプサラ大学病院移植外科に外科専門医として勤務。14年の第1回アメリカンフットボール世界大学選手権の日本代表チームに帯同。その後、スウェーデンのアメリカンフットボールトップリーグ「スーパーシリーズ」所属のクラブチーム 「Uppsala 86ers」のチームドクターを務めている。

【写真】センターからのスナップを待つ86ersのQB=写真提供・山本慎治さん