「ホームでの崖っぷちの一戦」

 私の勤務するウプサラ大学病院の病棟の厨房で勤務する女性が、ウプサラ地域のスポーツ、すなわち、バスケットボール、フロアボール、バンディ、そしてアメリカンフットボールの試合をフォローしており、毎朝、彼女とチームの状況や他のスポーツについて立ち話しをしています。


 彼女は先日のホームの試合を家族、知人と観戦に来てくれました。ローカル新聞とネット情報で、リーグとチームの情報を欠かさずチェックしてくれています。
 チームにとって、彼女のようなファンはとてもありがたい存在です。ぜひ、ウプサラで開催されるスーパーシリーズファイナルに86ersが駒を進めてほしいというのが彼女の希望です。ちなみにスタジアムは病院の向いにあります。


 チームのオーナー、セーデルベリ氏によると、去年ストックホルムの最新鋭スタジアムで開催されたファイナルの観客数は2000人であったとのことです。私も観戦したのですが、3万人収容のスタジアムでの2000人の観客では、閑散とした印象をもたざるをえませんでした。
 彼に、今年ウプサラで開催されるファイナルの観客数を予想してもらったところ「86ersが進出したら2500人で、もしそれ以外の2チームなら1500人程度だろう」という回答でした。決勝に進出する両チームにはリーグからボーナスが支給されるので、それも大きな魅力であると彼は教えてくれました。


 スウェーデンのトップリーグ、2015年のシーズンの優勝をめざすウプサラ86ersは6試合を終わった段階で3勝3敗です。残り4試合、プレーオフ進出をかけた負けられない戦いがまっております。世界選手権開催期間に合わせたサマーブレイクを前に、6月17日にホームで1試合を残しておりました。
 ティーレソー戦の苦い敗戦の試合から11日間があいたことで、選手もリフレッシュして、気持ちを切り替えて試合に臨みました。懸念のPATのキッカーも新たに固定されました。


 対戦相手は、ストックホルム北部のチーム、STUノースサイド・ブルズ。昨年の対戦成績は1勝1敗でした。今年のここまでのブルズの成績は3勝2敗と好調です。直前の試合でブルズはティーレソーに大差で敗れているものの、もはや後がない86ers、油断することなく勝利だけを目標として戦いました。


 6月17日19時、試合開始。
 この試合は、ディフェンスがあまり機能せず、29点を献上、試合中もディフェンスコーチの怒号がとどろいていました。
 しかし、オフェンスは好調で、ランプレー、パスプレーともに相手ディフェンスを翻弄して、難なく54点を挙げました。終始リードを保った危なげない試合運びで、54対29で勝利を収めました。


 これで、スーパーシリーズのサマーブレイク前の日程が終了しました。86erは7試合で4勝3敗の勝ち点8となりました。まだ6試合しか消化していないチームが3チームありますが、以下の順位表となりました。

順位 チーム 試合数 勝利 敗戦 得点―失点 勝ち点
1ティーレソー・ロイヤルクラウンズ 7 7 0 357 - 99 14
2カールスタッド・クルセダーズ 7 7 0 308 - 89 14
3ウプサラ・86ers 7 4 3 218 - 115 8
4オレブロ・ブラックナイツ 6 4 2 95 - 107 8
5クリスチャンスタッド・プレデターズ 7 3 4 249 - 181 6
6STU ノースサイド・ブルズ 6 3 3 202 - 242 6
7リムハムン・ グリフィンズ 7 1 6 88 - 228 2
8ヴェステロース・ローディアーズ 6 1 5 70 - 242 2
9ストックホルム・ミーンマシーンズ 7 0 7 30 - 314 0


 プレーオフに進出できるのは4チームです。すでに、3チームは脱落し、一方、無敗の2チームは進出が確定しています。残りの2つの席をウプサラ、オレブロ、クリスチャンスタッド、STUが争います。
 勝ち点が並んだ場合は直接対決で勝っている方の順位が上となります。ウプサラはすでにオレブロ、STUに勝利を収めており、5位のクリスチャンスタッド戦が非常に重要な試合となります。


 ウプサラとしては3位通過を果たし、プレーオフの準決勝を2位のチームと戦いたいと考えておりますが、ティーレソー対カールスタッド、ティーレソー対オレブロ、オレブロ対クリスチャンスタッドの勝敗が順位の変動にかかわってくるため、他のチームの結果にも目が離せません。


 7月半ばの練習再開まで、選手はオフとなります。もちろん、体調管理、維持は各自にまかされております。QBのステグマンだけが、アメリカでの世界選手権にオーストラリア代表として参加しました。
 そして彼はその大会で3勝1敗、2つの試合でMVPという成果をあげました。これは、スウェーデンでネット観戦していたチームメートにとっても大きなニュースとなりました。
(つづく)


山本慎治(やまもと・しんじ)プロフィル
 1969年生まれ。外科医。日本、アメリカの施設で腹部一般外科、臓器移植外科で勤務した後、2005年からスウェーデンに移住、現在はウプサラ大学病院移植外科に外科専門医として勤務。14年の第1回アメリカンフットボール世界大学選手権の日本代表チームに帯同。その後、スウェーデンのアメリカンフットボールトップリーグ「スーパーシリーズ」所属のクラブチーム 「Uppsala 86ers」のチームドクターを務めている。

【写真】86ersは7試合を終えて3位につけている=写真提供・山本慎治さん