「86ersの2015年始まる」


 先日、7月の世界選手権に出場するアメリカンフットボール日本代表45人が発表されました。その中に、昨年のウプサラでの大学世界選手権大会に出場した、カレッジ日本代表の選手も数人含まれていました。
 個人的にも非常にうれしく思っています。若い彼らが、ウプサラでの経験を生かして、フル代表で強敵相手に活躍してくれることを期待しています。また、候補に残りながら残念ながら代表に選出されなかった選手も、悔しさをバネにさらに飛躍してほしいと思っています。


 さて「Uppsala 86ers」の2014年のシーズンは5位で終了しました。
 納会のパーティーで、オーナーのマルティン・セーデルベリ氏から、今年のシーズン、チームに帯同してくれてありがとう、助かったよ、と声をかけていただき、皆さんからも温かい拍手をいただきました。これで来年も一緒に頑張ろうという気持ちになりました。


 シーズンオフもチームが契約している町のジムで選手は体を鍛え、1月中旬からは、屋内練習場での全体練習が週2回行われました。
 2015年新チームスタート直前に、スウェーデン人ヘッドコーチ(HC)が辞任し、スポーツディレクターというポジションにつきました。
 そして、クロアチアのチームのHCも務めたことがある経験豊富なアメリカ人コーチが招聘され、新しいHCに就任しました。去年のコーチ4人のうち、二人が退団、二人が新たにコーチに就任しました。


 4月にはそのHCが4人のアメリカ人アシスタントコーチを連れてきて、開幕試合までの1か月契約でチームの指導にあたりました。
 週末に2回ミニキャンプを張り、優勝という目標にむけて動き出しました。


 練習は、月曜日はジム、火、水、木曜日は屋外の競技場で練習と去年とは違い水曜日も練習日となりました。
 チームも、何人かのキープレーヤーが去りましたが、代わりに資金難で今年トップリーグへの参加が不可能となったアーランダや、ファームチーム契約をしているイエブレから数人の優れたプレーヤーが参加しました。


 シーズン初めの登録選手数は54人でした。そして、今年は重要な移籍がありました。4人のインポートプレーヤーを獲得したのです。
 エースQBに、ベテランのアメリカ人、ジェフ・ウェルシュをドレスデンから獲得しました。彼は、NCAAの西ミシガン大学出身、卒業後はアリーナフットボールでプレーしました。その後、パリのチームで1年、ドイツのチーム、キールで3年、ドレスデンで2年プレーしており、ヨーロッパでの経験が豊富な選手です。


 パリとキールでは国内優勝も経験しています。また、パリ所属の2009年には、European Football League(EFL) の主催するトーナメント「ユーロボウル」の決勝に進出しております。冗談をしょっちゅう飛ばす陽気なアメリカンです。


 そして、今年はもう一人優秀なQB、現役オーストラリア代表のジャレッド・ステグマンを獲得しました。彼は7月の世界選手権出場に向けての経験を積むためスウェーデンに渡ってきました。
 高校時代まではラグビーのフルバックをプレーしていた選手で、WRもプレーできる重量級モバイルQBです。


 そしてLBにアメリカの大学を出たばかりのスピードあふれるキャメロン・グラッド、さらに、昨年オレブロで主力選手としてプレーして、決勝戦にも出場したセルビア人WRストラヒンヤ・ステポジッチを獲得しました。
 新しいアメリカ人HC、臨時コーチの指導、練習量の増加、そして複数の新戦力でチーム力が格段にアップしました。


 また、練習量が増えたことにより選手の故障も増えて、私に対しても去年は様子見だった選手が今年はどんどん声をかけてくれるようになりました。
 彼らと一緒に考えて、アスレチックトレーナー・ドクターとして積極的に手助けしています。二人のQBからも初日から相談を受けて、このポジションの選手のケアを初めて経験することになりました。


 新加入のインポートプレーヤー4人とは、特に密にコミュニケーションをとるようにしています。彼らは、チームの協賛企業の一つであるレストランの食券をもらっており、そこで練習後に食事をしているのですが、そこに私も何度か合流して、話をするようにしています。


 チームのスウェーデン代表RBも来て、彼らと積極的に話をしています。彼は、このリーグで今年結果を出して、来年はドイツのリーグにチャレンジすることだと目標を語っていました。


 HCからは、故障者の状況がすぐにわかるリストを作ってほしいとの依頼を受けて、スポーツディレクターと共同で作成、毎週アップデートしております。
 ここでは、大学日本代表のアスレチックトレーナーから教えていただいた方法をそのまま応用しており、代表での経験が非常に役に立っております。


 このように、14年のチームから進化した15年の86ersですが、リーグの状況は金銭難で不参加となるチームがあり、下部リーグからベステロースが昇格して、同じ9チーム3カンファレンスの構成となりました。
 86ersのカンファレンス同組に5連覇中のカールスタッドが入っており、ホームアンドアウェーで戦わないとなりません。
 そして、リーグ開幕試合は、アウェーでカールスタッドとの対戦でした。
(つづく)


山本慎治(やまもと・しんじ)プロフィル
 1969年生まれ。外科医。日本、アメリカの施設で腹部一般外科、臓器移植外科で勤務した後、2005年からスウェーデンに移住、現在はウプサラ大学病院移植外科に外科専門医として勤務。14年の第1回アメリカンフットボール世界大学選手権の日本代表チームに帯同。その後、スウェーデンのアメリカンフットボールトップリーグ「スーパーシリーズ」所属のクラブチーム 「Uppsala 86ers」のチームドクターを務めている。

【写真】スタジアムの入り口で配布しているパンフレット=写真提供・山本慎治さん