「2014年スウェーデントップリーグでの戦い」


 昨年4月末から5月初めにかけて、第1回アメリカンフットボール大学世界選手権大会に出場した大学日本代表と生活をともにする機会を得ました。
 その際に、コーチの方々がいかに夜遅くまで戦術分析などで苦労されているか、選手の皆さんも同様に遅くまで映像やプレーブックを見て勉強されているかを知り、大変驚きました。


 そしてなにより、裏方のマネジャーの方々の頑張り、アスレチックトレーナーの方々のきめ細やかなサポート、そして日本代表のチームドクターの豊富な知識と的確な診断と指示には感銘を覚えました。まさに、全員で勝利を目指した機能的な組織でした。


 話題を去年の86ersの戦いに戻します。
 シーズン中の活動は、月曜日はジムでのワークアウト、火曜日と木曜日は、19時から21時までの競技場での練習、そして週末が試合となっておりました。
 コーチはヘッドコーチが一人、オフェンスコーチとディフェンスコーチ合わせて四人でした。そのうち一人は、アメリカの高校で指導していたアメリカ人を招聘しておりました。


 去年のトップチームの登録選手は58でした。チームには、U―23のスウェーデン代表選手と、ヨーロッパ選手権に出場したフル代表選手数人も含まれていました。
 そして、アメリカのNCAAではなく、NAIAという連盟所属の大学でプレーしていたアメリカ人のQBが合流していました。彼は大学時代にパス1万ヤード以上、ランも3000ヤードという実績を持っていました。


 なお、各チームはアメリカ人選手や他のヨーロッパの国の選手数人と契約しており「インポートプレーヤー」と呼ばれています。
 去年、他のチームが、アメリカ人二人を労働許可ビザが下りていない状態でプレーさせていたことが後に判明して、勝利したもののその後の裁定で0―1で敗戦という結果となりました。


 また、別のチームのアメリカ人選手がシーズン途中で解雇されたときに、ネットを通じてチームの扱い方や運営について問題を提起するという事例も起きました。
 余談ですが、86ersは2013年にNFLデトロイト・ライオンズの元スターターQBマイク・マクマーンを獲得、大きな期待がかかっていました。


 しかし、オープニングゲームの2プレー目で膝にタックルを受けて複数の靭帯を損傷、残念ながらすぐにアメリカに帰国し引退となりました。
2014年のトップリーグの参加チームと結果は以下の通りです。
                    試合 勝利 敗戦 得点 失点 得失差 勝ち点
①carlstad Crusaders       10  10   0  588  140  +448 20
②Tyresö Royal Crowns     10   9   1  370 134 +236 18
③Örebro Black Knights    10  7 3  371 199 +172 14
④Kristianstad Predators    10 6 4  270 192 +78 12
⑤Uppsala 86ers         10 5  5  345 255  +90 10
⑥STU Northside Bulls     10 4 6  227 323  -96 8
⑦Stockholm MeanMachines 10 2 8  129 446 -317   4  
⑧Arlanda Jets          10 1 9  117 568 -45 1   2
⑨Limhamn Griffins     10 1 9 184 344 -160 2


私がチームに合流したのが6月10日、その時点でアウェーでのStockholm戦で1勝をあげていました。
 6月はホームでストックホルム近郊チームArlandaとストックホルム北部のチームSTUに大勝して3連勝、7月はまずスウェーデン南部の都市マルメでのLimhamn戦で勝利をあげて4連勝としました。


 これでプレーオフ出場も見えてきましたが、その後失速。ストックホルム南部にて強豪Tyresöに敗れ、続いてリーグ4連覇中の王者Carlstadにホームで完敗、そして敵地Örebroでライバルに20―30で敗れ3連敗。そして、8月3日、プレーオフの出場権をかけてKristianstadをホームで迎えましたが、接戦の末、20―23で敗れました。


 残り10ヤードの最終プレー、パスがインターセプトされて4連敗とともに、プレーオフ出場が絶望となりました。
 その後ホームでのStockholm戦は勝ちましたが、続くアウェーでのSTU戦は消化試合で気力も戦力も振るわず完敗。結局、5勝5敗の5位で終了しました。


 プレーオフでは、1位のCarlstadが 4位のKristianstadに大勝して決勝に進出、 3位の Örebroが2位Tyresöを接戦で破り決勝へ進みました。


 決勝戦はストックホルムの最新スタジアム、Tele2arenaで9月初めに開催されましたが、Carlstadが終始優位に試合を進め勝利し、リーグ5連覇となりました。


山本慎治(やまもと・しんじ)プロフィル
 1969年生まれ。外科医。日本、アメリカの施設で腹部一般外科、臓器移植外科で勤務した後、2005年からスウェーデンに移住、現在はウプサラ大学病院移植外科に外科専門医として勤務。14年の第1回アメリカンフットボール世界大学選手権の日本代表チームに帯同。その後、スウェーデンのアメリカンフットボールトップリーグ「スーパーシリーズ」所属のクラブチーム 「Uppsala 86ers」のチームドクターを務めている。

【写真】86ersの選手(左)と山本さん